胃痛・胃もたれ

公開日:2016/05/17

最終更新日:2024/06/12

土持 早希 先生

この記事を監修したドクター

東京大学医学部附属病院女性診療科・産科土持 早希 先生

共著:熊澤 惠一 先生

胃痛は多くの場合、ストレスと関連

胃では、胃酸によって強い酸性状態を保ち、さらにペプシンというタンパク質分解酵素で食物を溶かして消化します。胃酸やペプシンから胃自身を守っているのは胃の粘膜が出す粘液です。粘液には傷を修復する作用もあります。このバランスは自律神経(交感神経と副交感神経)により保たれています。副交感神経は胃酸分泌や胃の蠕動運動を活発にしますが、交感神経が優位になると、胃の血流や粘液分泌の減少が起こり、防御因子が減るため、胃酸やペプシンなど胃の攻撃因子が強くなります。その結果、胃の痛みや胃もたれが起こります。胃が心理社会的ストレスの影響を受けやすい臓器として考えられているのはそのためです。

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胃痛の原因は?

胃痛や胃もたれの原因として、胃炎や胃潰瘍の他、機能性ディスペプシアが挙げられます。また生理前の決まったタイミングで症状が現れることがあり、PMSの症状の一つとして胃痛や胃もたれが起こることもあります。どれも酷くなる前に内科あるいは産婦人科を受診することで、早めに改善できる可能性が高いです。

胃潰瘍は、胃酸が直接に粘膜を刺激する空腹時や夜間に痛むのが特徴で、胃カメラで胃の粘膜がえぐられている状態が観察されます。制酸薬を服用することで症状が改善します。

機能性ディスペプシアとは、胃炎や胃潰瘍など異常を認めないのに、胃もたれや胃の痛みなどが現れる病気で、不安やストレス、アルコールや喫煙、睡眠不足など生活習慣の乱れとの関連が指摘されています。

月経と関連する場合も

PMSとは、月経前、3〜10日間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものを言います。
代表的な症状として、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、腹部緊満感、乳房の張りといった身体的症状と、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中食の低下などが挙げられますが、それ以外にも多彩な症状を認めます。

どんな治療ができますか?

まずは消化器内科を受診して、胃カメラで胃炎や胃潰瘍、胃癌などが隠れていないか調べることが大切ですが、胃痛や胃もたれは多くの場合、心理社会的なストレスが関連しており、ストレスへの対処法や生活習慣を見直すことも重要です。PMSであれば、ピルや漢方など治療の選択肢はたくさんありますので、ぜひ婦人科でも相談をしてみて下さい。

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