膝痛、腰痛

公開日:2016/05/18

最終更新日:2025/01/31

森 繭代 先生

この記事を監修したドクター

東京大学医学部附属病院女性診療科・産科 講師森 繭代 先生

共著:国立成育医療研究センター

どんな症状がありますか?

ベッドから起きあがるとき、歩き始めるときなど、動作を開始するときに膝や腰の関節が痛む、という訴えはよくある不調です。また、正座や中腰の姿勢、階段の昇り降り、などの特定の動作や、長時間の立位や歩行後などに「膝や腰が痛い」という訴える人も多くいます。痛みの感じ方は千差万別です。実生活でどんなところに支障があるかを医師に伝えるようにしましょう。

病院での検査は?

痛みの引き金になった出来事があるかどうか、痛みの性質、痛みの経過について、問診でよく聞き取ります。問診は痛みの診断にとってとても重要です。また、過去にあった外傷、スポーツ経験、職業なども診断の参考になります。

女性ホルモンのエストロゲンが低下する40代以降の女性で、最初に考えられるのは、運動器の加齢と消耗性変化にともなう「変形性膝関節症」と「変形性腰椎症」です。 レントゲン検査の結果と実際の症状とは必ずしも相関しないことが多く、レントゲンだけでは正しい診断にならない場合もあります。

腰痛の場合は、下肢にしびれなどの神経症状があるかどうかを確認して、いずれも痛みが強く、持続している、あるいは悪くなっている場合は、MRIや関節内視鏡などで一歩進んだ精密検査をして病態を確認することが必要です。

痛いときは痛む動作を控えます

運動器が発する“痛み”は、自分自身の許容量を超えた使い過ぎや使い勝手の悪さから、自分の身を守るための“生理的警報”です。必要以上に、病気としての意識を持たないように、医師としてアドバイスしています。加齢による変化に人の体は徐々に適応していきます。この現象を受け入れ、“うまくつきあっていく”心のあり方も大切です。まずは、動くことで痛むような動作や痛みの誘引となるような動作を控えましょう。

痛みは早い段階で、抑えることが大切です

痛みを抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の内服薬・外用剤を処方します。痛いままで我慢していると、さらに痛みが増強して、薬の量を多くしたり、強い薬を使ったりしなくてはなりません。早めに痛み止めを使って、痛みは抑えておくことで薬の使い過ぎを防げます。症状が強いときは、関節内への注射、ブロック注射などで、疼痛をコントロールします。

痛みが軽減したら運動やストレッチを

過度の保護は、運動不足を招き、かえって症状を慢性化させることになりかねません。急性期が過ぎたら、適度な運動・ストレッチを導入することが大切です。

長期的には、膝・腰への負担の軽減に繋がるよう体重をコントロールすることが大切です。身体を支える支持力の低下を防ぐ、太ももやお腹・背中の筋肉を強化する訓練も有効です。

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