全身のかゆみ

公開日:2016/05/17

最終更新日:2024/05/31

山口 広平 先生

この記事を監修したドクター

帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 助教山口 広平 先生

共著:鶴賀 哲史 先生

どんな病気が考えられますか?

かゆみは、乾燥が原因のことがほとんどです。特に、冬場や季節の変わり目には、「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」が多いです。体の中心部は皮脂の多いので症状は出にくいですが、体の中心部から離れるほど強い症状が出やすくなります。顔では、目のまわり、頬部、口のまわりに症状が出やすいです。冬に、体が温まるとかゆみが強くなり、ひどい場合は夜眠れなくなるほどです。

同じような症状ですが、遺伝的な要素と皮膚要因がもとで起こる皮膚疾患に、「アトピー性皮膚炎」があります。年齢によって、症状の程度やかゆみの部位は異なり、かゆみの強い湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返します。多くは、学童期までに軽快しますが、成人しても症状が続くことがあります。

また、突然、体のあちこちに赤く膨らんだ皮疹が出現し、かゆみが強いものが「蕁麻疹(じんましん)」です。通常は30分~1時間でなくなり、別の部位に出現するのを繰り返します。重症の場合は、鼻づまりや気道浮腫、腹痛、下痢などの胃腸症状をともなって、軽いショック症状を起こすこともあります。

病院ではどんな検査をしますか?

「皮脂欠乏性湿疹」や「蕁麻疹」は、医師が眼で見て診断できますが、アレルギーかどうかは、患者さんの家族歴(喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎があるかどうか)、場合によっては血液検査も参考にします。また、乾燥しやすい、刺激に弱いなど、皮膚の性質や状態も考慮します。

どのようにケアすればいいでしょうか?

乾燥が原因の場合には、保湿が重要です。市販のワセリンやボディクリームが有効です。タイミングはお風呂上がりが最適ですが、冬場はそれ以外の時もまめに塗って保湿しましょう。かゆみが強い場合は、入浴にも注意しましょう。石鹸でゴシゴシ洗い過ぎないことが非常に大切です。ナイロンタオルやスポンジを使っている場合には、控えましょう。刺激の少ない石鹸を泡立てて、手でそっと洗います。入浴の温度も、38~39℃が良いとされています。

体が温まって、血行が良くなると、かゆみが強くなるので、飲酒や辛いものも避けます。 蕁麻疹に関しては、胃腸障害や疲労が引き金になるため、食事を考えることも大切です。

内服治療では、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤を処方します。蕁麻疹には、H2ブロッカーを用いることもあります。また、皮膚症状にはステロイドなどの外用剤が効果的です。

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