全身のかゆみ
公開日:2016/05/17

この記事を監修したドクター
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 助教山口 広平 先生
どんな病気が考えられますか?
かゆみは、乾燥によるものがそのほとんどですが、特に、冬場や季節の変わり目に起こるかゆみで多いのは、「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」です。皮脂の多い体の中心部から離れるほど、症状が強い傾向があります。顔では、眼囲、頬部、口囲などです。体では、四肢や腹部です。冬に、体が温まるとかゆく、ひどい場合は夜眠れないほどです。
同様の症状で、遺伝的な要素と皮膚要因がもとで起こる皮膚疾患に、「アトピー性皮膚炎」があります。年齢によって、症状やかゆみの部位は異なり、かゆみの強い湿疹で、良くなったり、悪くなったりを繰り返します。多くは、学童期までに軽快しますが、成人しても症状が続くことがあります。
また、突然、体のあちこちに膨疹が出現し、かゆみが強いものが「蕁麻疹(じんましん)」です。通常30分~1時間で消失し、別の部位に出現するのを繰り返します。重症の場合は、鼻づまりや気道浮腫、腹痛、下痢などの胃腸症状をともなって、軽いショック症状を起こすこともあります。
病院ではどんな検査をしますか?
「皮脂欠乏性湿疹」や「蕁麻疹」は、医師が眼で見て診断できますが、アレルギーかどうかは、患者さんの家族歴(喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎があるかどうか)と血液検査で判断します。また、乾燥しやすい、刺激に弱いなど、皮膚の性質や状態も考慮します。
どのようにケアすればいいでしょうか?
かゆみの場合は、まず、入浴に注意しましょう。石鹸でゴシゴシ洗い過ぎないことが非常に大切です。ナイロンタオルやスポンジも中止します。刺激の少ない石鹸を泡立てて、手でそっと洗います。入浴の温度も、理想的には38~39℃です。長湯せず、硫黄の入った温泉や入浴剤を避けることも大切。
体が温まって、血行が良くなると、かゆみが強くなるので、飲酒や辛いものも避けます。
蕁麻疹に関しては、胃腸障害や疲労が引き金になるため、食事を考えることも大切です。
内服治療では、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤を処方します。蕁麻疹には、H2ブロッカーを用いることもあります。また、皮膚症状にはステロイドを始めとする外用剤が効果的です。