むくみ

公開日:2016/05/18

森 繭代 先生

この記事を監修したドクター

東京大学医学部附属病院女性診療科・産科 講師森 繭代 先生

むくみの原因は?

むくみは、婦人科や女性外来で遭遇することの多い訴えのひとつです。むくみの部位や程度はさまざまで、いわゆる体質的な部分に加え、女性ホルモンの変動や生活習慣など、その原因は複雑だと考えられます。

立位や座位など、同じ姿勢を長時間続けることやストレスや運動不足による血流障害や新陳代謝の低下が原因のひとつと考えられます。そのほか、月経時や月経前症候群(PMS)の一症状としてむくみが起こることも多くあります。背景に器質的な疾患がない、いわゆるむくみは、一般的には現代(西洋)薬による治療の対象とはなりにくいもので、漢方治療の良い適応となります。

背後に隠れた病気があるかないかを確認しましょう

甲状腺機能低下症や膠原病、心疾患や腎疾患など、背後に隠れた器質的な疾患があるかどうかをチェックすることが大切です。その上で、緩下剤・利尿剤の服用やダイエットの有無、月経周期との関係、季節や時間による変動などを確かめておく必要があります。

漢方医学では、血液以外の水分である「水(すい)」の偏りがむくみであり、水は冷やす性質があって、冷えにもつながると考えています。また、冷えの原因には水のほか、血流障害や新陳代謝の低下があり、その原因や体質によって、漢方薬の処方や日常生活のケアを行います。

どんな治療ができますか?

器質的な疾患があれば、その治療をするのはもちろんです。また、ダイエットや緩下剤・利尿剤の服用などの原因がはっきりしていれば、まず原因となっていることを取り除くことが第一です。

そのうえで、体力の有無や胃腸機能などの体質的背景を加味して、「真武湯(しんぶとう)」や「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」をはじめとする漢方薬を長期的に使ってみます。

また、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることや足浴、下肢のオイルマッサージ、散歩などの軽い運動などは有効です。日常生活でセルフケアして、生活習慣に上手に取り入れていくとより効果的です。

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