避妊
公開日:2016/03/29
最終更新日:2025/09/09

この記事を監修したドクター
日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 准教授平池 修 先生
望まない妊娠を避けるために行う避妊はさまざまな方法があり、その特徴や効果も異なります。適切な知識と意思をしっかりと持つことが、予期しない妊娠を防ぎ、主体的なライフデザイン(将来設計)につながります。
目次
二重の防御「低用量ピル+コンドーム」がおすすめ
日本では避妊法としてまずコンドームを選択する人が多いですが、実は、コンドームをつけているのに妊娠してしまう人が約14%!なんと7組に1組は1年間に1回くらいは、コンドームを使用していたのに妊娠しています。コンドーム使用のみでは避妊法の効果が低い方法といえます。より確実な避妊効果が期待できる経口避妊薬「低用量ピル」とコンドームの併用がおすすめされます。
コンドームはHIV/ エイズなどの性感染症(STD)の予防にもなりますので、併用することで二重の防御をすることができます。
低用量ピルは女性の味方です
世界では経口避妊薬「低用量ピル」での避妊が主流で、フランスやドイツでは、若い世代の7割が低用量ピルを選択しています。
低用量ピルの特徴は以下のとおりです。避妊以外にもさまざまなメリットがあるので、おすすめです。
【ピルのメリット】
・ 毎日1粒ずつ定期的に飲むだけでほぼ確実な避妊ができる
・ 女性が主体的に妊娠するかどうかを決めることができる
・ 月経を自分の好きな日に移動できる、月経痛が軽くなる、月経量が減る、
ニキビがきれいになるなど 避妊以外の利点がある
・ 妊娠を希望する場合は、服用をやめるだけで排卵がすぐに戻る
・ 健康な若い女性が服用する場合には、副作用は極めてまれ
リスク、副作用は怖くない?
低用量ピルの一般的な副作用として吐き気、頭痛、不正出血などがありますが、これらのマイナートラブルは大半の場合、飲み続けていくとよくなるものです。低用量ピルの重い副作用のひとつに静脈血栓塞栓症があります。低用量ピル服用により静脈血栓塞栓症の頻度は、わずかに増加するとされています。静脈血栓塞栓症の症状としては、激しい頭痛、急に目が見えにくくなったとかしゃべりにくくなった、激しい腹痛、下肢のむくみや痛みなどがあります。
低用量ピルを服用中にこれらの症状が出た場合は、必ず処方医に相談してください。早期に診断して治療すると、重症化しないこともわかっています。静脈血栓塞栓症は低用量ピルの内服を開始してから3カ月以内がもっとも多いことや、肥満、喫煙、女性の場合にそのリスクが上昇することもわかっており、40歳以上の女性が使用する場合はより慎重にしています。
また、高血圧や喫煙は心筋梗塞のリスクを、片頭痛や高血圧は脳卒中のリスクを上昇させることがわかっているので、低用量ピルの内服が適さない人もいることに注意しましょう。
このように低用量ピルにはデメリットもありますが、メリットのほうが多いことから世界的にも広く使用されていますし、低用量ピルを内服している女性はしていない女性と比較して全体の死亡率が変化しない、あるいは低くなるということもわかっています。
避妊にもっとも大切なこと=「避妊する意思」
いくら避妊法を知っていても、使おうとしなければ意味がありません。避妊行動を取れるかどうかが大切です。
・ 男性 = 言われなくてもコンドーム
・ 女性 = 人生の決定をパートナー任せにしない。避妊希望ならしっかりと意思表示をしよう
妊娠は女性の心身に大きな変化をもたらし、中絶となれば身体的にも精神的にも大きな負担となります。また、経済的な負担も増加します。だからこそ、妊娠を希望しない場合は確実な避妊が必要です。「1回なら大丈夫」「1回目が大丈夫だったから2回目も大丈夫」「10代だから大丈夫」「ちょっとだけなら大丈夫」はありえません。避妊を希望する場合ははっきりとパートナーに意思表示をすることが大切です。
緊急避妊法「モーニングアフターピル」
コンドームが破けた・脱落した、コンドームからもれた、ピルを飲み忘れた、避妊しないセックスをした…
など、「妊娠するかも」と思ったら、72時間(3日間)以内に婦人科を受診し、緊急避妊ピルを1回飲むだけで、80%は望まない妊娠を避けることができます。2025年9月現在、まもなく市販化されることになっています。
・ 健康保険は適用されず自費になります(1回1万5000~2万円前後)
・ 効果は80%(緊急避妊ピル服用後、次の月経までセックスを避ければ、効果は約90%とも)
・ 副作用は吐き気、頭痛、めまいなどがあげられます
・ 性交後2週間ほどで必ず、妊娠検査薬で妊娠していないことを確認することが必須です
緊急避妊ピルはあくまで「緊急」の対応方法です。緊急避妊で妊娠が成立していないことの確認がとれたら、後は、低用量ピルを使用してより確実な避妊を始めることをおすすめします。
さまざまな避妊法とその特徴について
① 妊娠率(避妊の失敗率)理想的な使用をした場合、一般的な使用をした場合
※100人の女性がある避妊法を使用した場合、1年後に妊娠する人数(パール指数)
② 費用
③ 特徴
1)経口避妊薬(低用量ピル)
① 0.3%、9%
②1カ月分 約2500~3000円
③毎日決められた通りに1粒ずつ服用するだけなので、「理想的な使用」がしやすい。婦人科で処方できる。避妊以外の利点もある。副作用は極めて少ない
2)銅付加IUD
① 0.6%、0.8%
② 約3~4万円
③ 5年間有効。婦人科で子宮内に挿入する。月経量が増える場合がある。
3)薬剤付加IUD
① 0.2%、0.2%
② 約6~8万円
③ 5年間有効。婦人科で子宮内に挿入する。月経量が少なくなる
4)コンドーム
① 2%、18%
② 1枚約50円
③ 性感染症予防ができる。手に入れやすい。確実な使用には技術が必要である。
5)リズム法(オギノ式)
① 0.4~5%、24%
② 0円
③ 月経周期から「妊娠しやすい日」を見分ける方法。失敗する確率が高い。
月経不順があるとさらに不確実である。
6)性交中絶法(腟外射精)
① 4%、22%
② 0円
③ 技術的に困難である。失敗する確率が高い。
7)女性避妊手術
① 0.5%、0.5%
② ―
③ 婦人科で手術が必要。不可逆的(もとの状態に戻せないこと)である。
8)男性避妊手術
① 0.10%、0.15%
② -
③ 泌尿器科で手術が必要。不可逆的(もとの状態に戻せないこと)である。
9)避妊しない
① 85%、85%
(執筆者)女性クリニックWe!TOYAMA代表 種部恭子






