厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修

Q40.「ピルの服用について不安があるのですが詳しく教えてください。」

A40.「避妊以外にもメリットの多い薬です、正しく使えば問題ありません。」

低用量ピルのメリット

10代から40代の多くの女性にとって、低用量ピル(OC)はメリットがある薬です。低用量ピルが避妊薬として1999年に認可されてましたが、その服用率は対象年齢の女性においてまだ低い状況です。日本で低用量ピルが普及しない理由として、低用量ピルが副作用の多い薬剤であるという誤解、偏見と、利点があまり正しく理解されていないことが大きな原因です。
 低用量ピルのメリットは何といっても、最も確実な避妊方法ということです。飲み忘れがなければ、ほかの避妊方法を併用しなくても妊娠する確率はほぼ0%に近いです。女性自身が選べる避妊法で性感を損なわないことも大きなメリットです。
また、妊娠を希望するときは、服用を中止するだけでよく、胎児への影響もありません。

避妊以外では、月経痛の軽減、月経周期以上の治療、月経前症候群(PMS)の治療、ニキビや多毛の治療にも有効です。また、数年間服用すれば、卵巣がんや子宮体がんにかかる率が減少することもわかっています。

多くの女性に安全な薬

多くの女性に低用量ピルは安全な薬といえます。飲み始めの際に軽い嘔吐や頭痛、軽いむくみ感や少量の不性器出血などの症状が見られることがありますが、これらはマイナートラブルと呼ばれるもので、多くは1~2カ月で消失します。
血栓症のような副作用も確認されていますが、日本人には発症しにくい稀なケースと言えます。WHO(世界保健機構)で服用を禁止しているのは、35歳以上で15本以上の喫煙者とコントロールできない高血圧患者です。喫煙自体が有害であり、低用量ピルが悪いというものではありません。乳がんの既往のある人は、服用できませんが、低用量ピルは思っているよりも安全な薬で、多くのメリットが女性の生活の質を高めてくれることでしょう。