Q37.「体中に痛みがあります。」
どんな症状? どんな病気?
まず、「体中が痛む」と言っても関節が痛むのか、筋肉なのかを医師は診察で見極めます。
関節があちこち痛む、すなわち多発関節痛を訴える症例の場合は、膠原病ないしは変形性関節症(OA)の可能性があります。
膠原病は、ほぼすべてと言っていいほど多発関節痛を伴いますが、人によって暗部や症状、痛みの強さなどまちまちです。
どんな診察をするの?
膠原病のうちSLE(全身性エリテマトーデス)や強皮症などは症状が特徴的で比較的診断しやすい病気です。
まずは関節リウマチとシェーグレン症候群でないかどうかを検査します。
関節リウマチ(RA)は、朝の体のこわばりが有名ですが、この症状だけでRAを疑う必要はありません。RAの関節炎がよく発生する部位は、指の第二関節、手の付け根にある関節、手関節です。小さな関節なので、炎症の四主徴である腫脹、熱感、発赤、疼痛は比較的確認しやすいと思います。
肘関節では、関節が伸ばしにくくなることで、膝関節では正座ができなくなることで炎症の存在を確認できます。
問診、血液検査などの所見で炎症の存在が疑われたら、CRP(炎症の度合い)、リウマトイド因子(RF定量、RAHAなど)を検査します。ただ、小関節に限って起こっている炎症であれば、異常とならない場合もあります。
シェーグレン症候群でも、指の第二関節を中心とした関節痛がよく起こります。炎症の所見が乏しいのが関節リウマチと異なる点です。
問診でドライアイなどの乾燥症状が認められたら、抗核抗体検査をします。変形性関節症(OA)がよく起こる部位は、手指、膝関節と関節リウマチの症状と似ていて、専門家でも見分けることが難しいことがあります。手指関節の中でも指の第一関節に発症すると、炎症ではないので熱感を伴わないことが関節リウマチとの違いです。
全身に起こる筋肉痛は、インフルエンザなどの急性感染症をのぞけば、まれなケースです。
多発筋炎/皮膚筋炎では、筋肉痛よりも筋力の低下が症状として現れます。むしろ混合性結合組織病の場合に、全身の筋肉痛を訴えることが多いように思えます。
線維筋痛症という疾患概念もあり、診断は痛むポイントを確認します。