「厚生労働省事業」東京大学産婦人科学講座監修

Q28.「乳首がじくじくしてかゆみがあるのですが病気でしょうか?」

A28.「ホルモンバランスが崩れて引き起こされていることや注意すれば治る皮膚炎の場合がほとんどです。」

この記事を監修したドクター:熊澤 惠一 先生
最終更新日:2023/10/24

どんな症状? どんな病気?

          

月経前に女性ホルモンの影響で乳頭部がかゆくなることがあります。また、月経不順や更年期にもかゆみを生じることがあります。季節や気温の変化や下着の素材がかゆみを誘発することもあります。アレルギーやアトピー体質の人に多くみられます。体質や月経周期と関係なくかゆみが続いて、かぶれたり、滲出液(淡黄色の汁)と瘡蓋(固まった滲出液)の状態を繰り返したり、治療に抵抗があるときは受診しましょう。ページェット病との鑑別が必要です。

どんな診察をするの?

一時的なかゆみであれば何もしない、または適切な治療で良くなります。乳頭部だけがただれて湿疹のような状態でなかなか治らない場合は、基本的なマンモグラフィ・乳房超音波検査・滲出液の細胞検査をします。

治療や対処法は?

月経周期によって起こっているかゆみは、乳腺症の一つの症状なので、「掻かない・心配ない」ということを伝えます。女性ホルモンがアンバランスなために起こっているので、月経不順や更年期にも発することがあり、妊娠を経験することで治ることもあります。

『接触性皮膚炎』が一番多い原因で、「下着を替えてみる」「下着の内側にガーゼをあてる」などの生活指導で改善することがあります。寒くて乾燥しがちな冬場にはかゆみが起こりやすくなるため、ベビーオイルなどで保湿します。かぶれてしまった場合は、清潔に保った上で、消毒と抗生剤・軽度ステロイド外用薬・ガーゼ処置で短期間で自宅で療養します。多くの場合、それだけで完治しますが、再発しやすいので注意も必要です。かゆみがひどい場合は、抗ヒスタミン剤の外用薬を使うこともあります。悪性の場合は外科的な手術が必要となります。