厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修

Q23.「尿が漏れたり、我慢することができません。」

A23.「尿失禁は治る可能性のある疾患ですので、早めの相談と治療を。」

どんな診察をするの?

          

尿漏れの原因はいくつかに分かれます。腹圧性尿失禁は、腹部に力が加わるような動作(運動・咳やくしゃみ・重いものを持ちあげる)時に尿漏れがある症状です。切迫性尿失禁は尿がしたくなった時に我慢できずに漏れてしまう症状です。また、1日中尿がだらだらと漏れる溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)もあります。尿閉によるもので腎後性腎不全を起こす可能性があります。客観的所見として膀胱に尿が貯まった状態で内診台上で咳払いを3回させて、咳と同時に尿が噴出すれば、腹圧性尿失禁、咳から一瞬遅れて尿が漏れてくるようなら切迫性尿失禁の可能性があります。溢流性尿失禁を調べるには残尿検査を行います。

治療や対処法は?

腹圧性尿失禁ならばまず骨盤底筋訓練をするよう指導します。ただし3か月以上たっても改善しない場合は専門医の受診をおすすめします。効果が限定的なのであまり推奨しませんが、薬物療法としてクレンブテロール(スピロペントR)もあります。切迫性尿失禁の場合は尿検査で異常がなく残尿が50ml以下であれば抗コリン薬が効果的です。2~4週間服薬して効果が見られない場合は、用量を増やすか専門医に相談してください。残尿が100ml以上の場合はすぐに泌尿器科へ相談してください。
尿失禁は治る可能性のある病気です。早めに専門医に相談することが重要です。