厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修

Q10.「気分が浮き沈みしたり、イライラして人にあたってしまうことがあります。」

A10.「イライラや気分の落ち込みの根本の原因を探り、特にはカウンセリングなどで解消しましょう。」

どんな症状? どんな病気?

          

男性に比べ女性は、月経周期や妊娠・出産、更年期の影響で、気分の落ち込みやイライラなどが起こりやすいという特徴があります。また、女性は男性に比べストレスに弱く、ストレスがかかると気分の落ち込みやイライラを感じやすくなっているようです。
外来にくる患者には「自身でコントロールできない」「日常生活に影響がでる」落ち込みやイライラを感じていることが多く、医者の診察やカウンセリングを必要としています。

どんな診察をするの?

問診の際に、落ち込みやイライラ以外の症状として、不眠、食欲の低下、意欲・やる気の減退、集中力の低下、物事に対する億劫さがないかどうかを確認します。これらの症状がある場合はうつ病を疑います。現在や過去のストレスによる場合は、適応障害、外傷後ストレス障害、統合失調症等の精神疾患なども考えられます。女性の場合は、月経の周期と関係した月経前症候群(PMS)や更年期障害、妊娠の有無、出産によるホルモンの変化が要因となることもあります。その他、内科疾患が要因となる場合もあるので、末梢血検査・血液生化学検査を行うこともあります。甲状腺機能障害もよくある要因です。薬物の履歴、特にステロイド使用の有無を確認します。

治療や対処法は?

内科疾患、薬物の関与、産婦人科疾患が疑われれば、それらの精査や治療が必要です。
これらの関与がない場合は、ストレス源の有無を確認し、ストレス源がある場合は周りの環境の調整をします。また、カウンセリングをすることで患者自身に現状の心の整理してもらうことで解決する場合もあります。明らかなうつ病や適応障害などの精神疾患と診断できる場合や、薬を使わないことで日常生活に支障がある場合は、抗うつ薬や抗不安薬の薬物療法を試みます。