厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修

Q5.「おりものが気になります。デリケートゾーンのかゆみがひどいです」

A5.「腟炎を起こしている可能性があります。早期の治療がカギです。」

どんな症状? どんな病気?

          

腟の中は常にpH4前後の酸性に保たれて、外からの菌の侵入や菌の繁殖を防ぐようにしています。この作用を『腟の自浄作用』といいます。
体調が悪かったり、女性ホルモンのバランスを崩すと、この自浄作用が低下し、腟炎を発症することがあります。
おりものの色が茶、黄、緑色で、臭いがあれば腟炎の可能性を疑います。よくあるのはカンジダ腟炎です。STD(性感染症)の一つでもありますが、セックス経験のない人でも発症することがあるため、腟分泌物検査を行うことが必要です。また、ナプキンを長時間使用していることで腟炎を起こすこともありますし、皮脂やアポクリン腺、毛嚢などの皮膚炎による場合があります。

どんな診察をするの?

腟分泌物の培養により保菌している菌を調べます。下腹部の痛みや過去にクラミジアの経験がある人はクラミジアの検査も行います。視診をして初期のヘルペスや尖圭コンジローマの可能性がないことを確認します。豆腐のカスやヨーグルトのようなおりものが出るカンジダ腟炎や、泡沫状の黄色のおりものが現れるトリコモナス腟炎など特徴的なおりものを伴う腟炎は簡単に診断がつくこともあります。
しかし、見た目に特徴がない場合や様々な菌を保菌している可能性もありますので、まずは培養検査が必要です。

治療や対処法は?

腟炎の場合は早期の治療であれば、治療期間も短くすみます。菌の特定がされれば、それに応じた腟錠や軟膏の処方(抗真菌剤や抗生剤)、強いかゆみがある場合はステロイド軟膏を短期間処方します。
また、パートナーが性病に罹ってないか?疑わしい症状はないか?を聞き出すことも重要です。パートナーと一緒に治療すること、治療期間中はセックスを禁止することで再発が激減します。また、症状が良くなった後、再検査を受けることで再発防止となります。