過換気症候群

公開日:2016/07/04

最終更新日:2021/10/18

絹巻 暁子 先生

この記事を監修したドクター

東京大学医学部附属病院小児科 助教絹巻 暁子 先生

過換気症候群ってどんな疾患?

わたしたちは、息を吸うことにより空気中の酸素を肺から体内に取り込み、息を吐くことにより体内で発生した二酸化炭素を肺から体外に排出しています。これを呼吸と呼びますが、過換気症候群においては、呼吸のリズムが早くなったり深くなったりすることで、二酸化炭素が過剰に排出され、血中の二酸化炭素濃度が低下してしまいます。そうすると、しびれ、呼吸困難、動悸といった症状が出現し、パニック状態に陥ることもあります。

頭痛、腹痛といった痛みや、嘔吐、不安などが誘因となることがありますが、誘因がはっきりせず突然発症することもあります。10~20代の女性に多く、数分から長くても1時間以内に自然におさまることがほとんどです。

本人も周囲も落ち着いて対応しましょう

過換気の最中はパニック状態に陥ってしまうことがありますが、生命の危険はありませんので落ち着いて対応しましょう。腹部に手を当てて腹式呼吸を意識し、4秒かけて息を吸い、数秒止めて、8秒かけて息を吐く、といったゆっくりとしたリズムの呼吸を10回程度続けていると過換気症状はおさまってきます(つまり1分間に3-4回の呼吸で十分です)。

本人だけで対応するのは困難なことが多いですが、周囲の人にそうした呼吸を促してもらえると理想的です。救急車で病院に搬送されることもありますが、病院においても同様の対応を行っています。

過換気症候群は繰り返すことがあります

過換気症状を繰り返したり、再び起こしそうで不安な場合は、日ごろから上記のような腹式呼吸を数分間、1日1~2サイクル行うよう習慣化しておくと、いざ過換気になった際に取り組みやすいですし、不安も軽減されるため過換気症候群の頻度が減ったり程度が軽くなったりすることが期待されます。

頻度や程度がなかなか改善しない、過換気症候群に対する不安が強い、などの場合は、心理カウンセリングやこころの診療を検討してみてください。自分のこころとからだに起こっていることをどのように受け止め、対応していくとよいのかアドバイスを受けることができます。

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