女性と喫煙
公開日:2016/05/17
最終更新日:2025/01/16

この記事を監修したドクター
帝京大学医学部 産婦人科 講師平野 茉来 先生
喫煙は、ご自身の喫煙も受動喫煙もどちらもすべての世代の女性にとって大きなリスクが伴います。月経障害や不妊、動脈硬化、がん、認知症など多くの病気の一因となることから、禁煙を心掛けていきましょう。今と未来のために今から禁煙を行うことが、疾患を防ぐ第一歩になります。
自身の喫煙はもちろん、受動喫煙の有害性も高いです
喫煙は長い歴史の中で作られた習慣ですが、WHOによれば、喫煙関連疾患の死亡者数は、2019年時点で年間約800万人となっています。そのうち約130万人は非喫煙者で、副流煙にさらされたことが要因となっています。2030年には、喫煙に関連する死亡者数は1000万人に上ると推定され、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」(FCTC、2005年2月発効)など、世界的な取り組みが行われています。
タバコの煙には、約5,300種類の化学物質が含まれ(そのうち200種類は有害)、中でも、ニコチンの依存性と交感神経刺激作用、一酸化炭素の酸素運搬阻害作用、活性酸素の酸化作用や炎症惹起作用、タールの発がん作用が、大きなリスクをもたらします。
女性ではさらに、肝臓の薬物代謝酵素(チトクロームP450のアイソエンザイム)を誘導して、女性ホルモンであるエストロゲンの代謝を促進し、その働きを弱める作用が知られています。
また、本人が吸い込む煙(主流煙)だけでなく、副流煙や呼出煙による受動喫煙も有害であることが分かっています。
喫煙はすべての女性の年代で大きなリスクが伴います
20代、30代の日本人女性の喫煙率は、2023年には5.2%(20代)と8.7%(30代)です。10年前に比べて減っているものの、女性の喫煙は、女性のどのライフサイクルにおいても、さまざまな疾患や病態をもたらします。
また、ほかの薬物依存の誘導や月経障害の一因になります。妊娠・出産時には、血流の障害や酸素欠乏から早産や流産、死産、胎盤異常などの合併症の増加や胎児の発育障害を生じ、低出生体重児や乳児突然死症候群(SIDS)の要因になることや、ニコチンの母乳への分泌も生じることが知られています。また、不妊や、早期閉経の原因ともなります。更年期以降では、女性ホルモンの低下に加えて、動脈硬化のリスクを高め、発がんを促進します。さらに、老年期には、QOLに関わる歯周病や骨粗鬆症、認知症のリスクを高めます。
そのため禁煙をすることは、生涯のどの時点でも、それ以降の疾患を防ぐ効果が非常に高い方法といえます。
「加熱式タバコ」や「電子タバコ」もリスクあり
近年、煙が出ない新しいタイプのタバコとして「加熱式タバコ」と「電子タバコ」が発売されています。紙巻きタバコのように煙ではなく、どちらも霧状のベイパー(蒸気)を取り込むのが大きな特徴です。
2022年日本の一般住民へのインターネット調査では、男女ともに喫煙者の約半数が加熱式タバコを使用していました。含有量は異なるものの、加熱式タバコにも紙巻きタバコと同様にニコチンを含む多数の有害物質が含まれていることが分かり、妊娠中も含めた健康への影響が証明されはじめています。また、紙巻きタバコよりは少ないものの、加熱式タバコでも、家族の尿中からニコチン代謝物が検出され、受動喫煙のリスクにさらされることが分かっています。
電子タバコの使用の健康に対する影響については現時点では明らかではありませんが、健康に影響を及ぼす可能性のあるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドといった発がん性物質などを発生するものがあるといわれています。
これらの新型タバコの健康への影響に関する研究はまだ不十分ですが、ニコチンを含むか含まないかにかかわらず、紙巻きタバコ同様に健康に懸念があると考えられます。
喫煙はご本人の健康だけでなく次世代の健康にも影響する問題です。あなたと周りの人たちの今と未来のためにも、禁煙に取り組んでいきましょう。
もっと知りたい! ドクター監修の記事を続けて読む






