妊娠前に受けておきたい検診

公開日:2016/03/30

最終更新日:2025/12/04

国立成育医療研究センター

この記事を監修したドクター

子どもと女性のための病院と研究所国立成育医療研究センター

子どもを産むか、産まないか、は自分自身のライフプラン次第で決められますが、いざ子どもを持ちたいと思った時に、安心して妊娠・出産できる知識と準備は大切です。感染症をはじめとした体の状態のチェックを妊娠前の早い段階から意識して受けることで、ご自身の体を守ることにもつながります。

初交は10代でも出産は30代が多くなっています

現代女性は、好きな人ができたら、あるいは誘われたら、性交する人が多くなっています。そのため、初めてセックスする年齢は10代でも、子どもを産むのは結婚してから、あるいはキャリアが落ち着いてからの30代以降が多くなってきています。
先進国では初交=初めてセックスする年齢が低くなっており、結婚前に何人かパートナーが交代するのは普通ですが、子どもを産むタイミングは、婚姻とあまり関係なく、本人が望んだ時となっています。

         

セックスによる女性のリスクとは?

セックスは、女性にリスクをもたらします。
例えば、望んでいない状態での妊娠。望まない妊娠をすると、女性は中絶するのか継続するのかの選択を迫られます。
中絶する場合、精神的にも、肉体的にも、社会的、金銭的にも負担を強いられます。流産手術による痛みばかりでなく、中絶してしまった自分を責め、自己肯定感の低下につながりますし、相手との関係によって、仕事や学校を辞めたり、交友関係を変えたりしなければならないこともあるでしょう。もちろん、経済的にも大きな負担があります。

妊娠を継続する場合には、もっと大きな負担となります。
まず、自分のこれからの人生の軌道修正をしなくてはなりません。育児のパートナーや経済的基盤は得られるのか? 自分の仕事や学校は続けられるのか? 出産費用や育児費用はどうするのか?を一つ一つ確認し、妊娠、出産するための生活基盤を作ることが必要になります。

性感染症のリスクもあります

ふたつめのリスクは、性感染症(STD)です。
性交するとは、相手と菌やウイルスの共有をすることでもあります。
私たちは、生活のなかでいろいろな菌やウイルスと一緒に生活していますが、特に性的接触によって感染する病気のもとがいくつかあります。
HIV(エイズのウイルス)もそうです。ほかにも、クラミジア、淋菌やトリコモナス、カンジダ、梅毒、ヘルペスなどです。
これらに感染すると、症状が起こるものもありますが、多くは症状がないまま静かに体内で増えたり広がったりし、炎症や痛みを起こします。また、不妊や緊急手術、現在は極めて少なくなりましたが、死につながることさえあります。
また、女性の場合、将来のパートナーに感染させるばかりでなく、出産によって赤ちゃんに感染させてしまうことにもなります。

HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスは、子宮頸がんにもとになり、パートナーの陰茎がん、赤ちゃんののどのイボ(呼吸器乳頭腫症)の原因にもなります。

避妊と性感染症、子宮頸がん予防が重要です

若い女性たちに伝えたいのは、出産を希望する時までは、きちんと避妊すること、そして、性感染症の予防を意識し、パートナーが変わるごとに“性感染症検査”をすることです。
そして、子宮頸がんの予防接種(ハイリスク型HPVに対する免疫を作るワクチン)や、定期的な子宮がん検診も受けましょう。

妊娠前にすべき検査とは?

妊娠を希望するか希望しないかに関わらず、将来のライフプランに備えて今の体の状態や、隠れた病気がないかをチェックしましょう。
これは、まだ性交をしていない女性にも将来のために大切です。
まずは、心臓や腎臓の機能を検査で確認しましょう。妊娠・出産をする際には、心臓や腎臓にかなり大きな負担がかかります。ですから、心疾患や腎疾患は、将来妊娠を希望した時のためにもチェックしておくべきことです。学校検診や入社時の健康診断でも行っています。

さらに、女性に多く、かつ妊娠によって悪化しやすい病気、流産にもつながる病気のチェックをしましょう。
甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病)、リウマチ膠原病の素因(全身性エリテマトーデス(SLE)関節リウマチシェーグレン症候群など)を調べる血液検査をします。異常を早く発見し治療することで、不妊、流産、胎児死亡の予防にもなります。

あとは、子宮と卵巣、乳房を、超音波検査でチェックしておきましょう。
子宮筋腫、卵巣のう腫、乳がんなど、妊娠の妨げになったり、妊娠中や産後のトラブルになる病気はないか、妊娠前の20代半ば頃までには検査しておきましょう。
もしも異常が見つかったら早く治療し、妊娠希望の有無を考えるようにします。それは、自分でできるライフプランです。自分自身がより納得のいく選択をできるようにしておきましょう。

また、妊娠前の準備は女性だけでなく、男性も一緒に取り組んでいくことが大切です。
●バランスの良い食事や定期的な運動で適正体重を保つこと。
●たばこや過度な飲酒をやめること。
●生活習慣病やがんの検診を受けること。
●HPVワクチンを接種すること。
●感染症対策(風疹・おたふくかぜ・インフルエンザなど)のワクチンを打つこと。
などがあげられます。

男女問わず、日々の生活や健康に向き合うヘルスケアの考え方「プレコンセプションケア」もぜひチェックしてみてください。

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