月経困難症

公開日:2016/03/29

最終更新日:2023/10/04

鶴賀 哲史 先生

この記事を監修したドクター

東京都立駒込病院 緩和ケア科、東京大学医学部附属病院 届出研究員鶴賀 哲史 先生

下腹部や腰が痛みます

月経困難症は、月経の直前あるいは開始とともに症状が発現し、月経の終了前あるいは終了とともに消失するのが一般的で、おもに下腹痛、腹痛など疼痛を主症状として現れる症候群を指します。痛みだけでなく悪心、嘔吐、下痢頭痛などのさまざまな不快な症状を伴うことがあります。

症状はおもに「痛み」であるために、他の人と比べることも難しく、客観的に評価することはできません。そのために統計的にも、さまざまな報告があり、軽度の月経痛は月経のある女性の7割にみられるという報告もあります。重症例は、横になってしまわざるを得ず、まれではありますがショック症状を呈し緊急で治療を必要とする場合もあります。

月経困難症はふたつの種類があります

月経困難症は、原発性(機能性)月経困難症と続発性(器質性)月経困難症のふたつに分類されます。

1 原発性月経困難症
原発性月経困難症とは、子宮をはじめとする骨盤腔内臓器に疼痛の原因となる器質的病変が認められない月経困難症をいいます。原発性月経困難症は機能性、本態性、あるいは内因性月経困難症とも呼ばれることもあります。原発性月経困難症には排卵が関係していることがあります。

2 続発性月経困難症
続発性月経困難症とは、器質性月経困難症とも呼ばれ、子宮筋腫子宮腺筋症子宮内膜症などの疼痛の原因となる器質性病変を伴う月経困難症をいいます。まれですが、子宮奇形なども痛みの原因になります。

         

どのように診断しますか?

まずは婦人科を受診することが重要です。婦人科では痛みのタイミングや性状、初経からこれまでの痛みの経過などを問診します。原発性(機能性)なのか続発性(器質性)なのかによって治療方法が変わりますので、婦人科の診察(内診)や超音波検査などの画像検査を行います。腫瘍がある場合には悪性の可能性もありますので、血液検査で腫瘍マーカーを測定したり、病理学的検査をしたり、MRI検査などより詳細な画像検査を行ったりすることもあります。痛みの状況によっては、腹腔鏡手術で子宮や卵巣などを観察することもあります。

月経困難症の治療は?

骨盤内の器質性疾患が否定された原発性月経困難症の治療は、鎮痛薬の内服や低用量卵胞ホルモン黄体ホルモン配合錠(低用量ピル)を内服して排卵しないようにしたりします。

続発性月経困難症でも鎮痛薬の内服による対症療法が有効な場合もありますが、対症療法に加えて痛みの原因となっている病気(器質性疾患)の治療が必要になることもあります。低用量ピルの内服、黄体ホルモン錠(ジエノゲスト)の内服、GnRHアナログ療法などのホルモン療法のほか、子宮内黄体ホルモン放出システム(子宮内避妊具の一つ)を子宮内に留置したりします。腹腔鏡手術や開腹手術(子宮や卵巣などの摘出)などにより病変を摘出することもあります。

もっと知りたい! ドクター監修の記事を続けて読む