不正出血

公開日:2016/03/28

最終更新日:2023/07/06

鶴賀 哲史 先生

この記事を監修したドクター

東京都立駒込病院 緩和ケア科、東京大学医学部附属病院 届出研究員鶴賀 哲史 先生

共著:平池 修 先生

不正出血とは?

月経がある方について、月経期以外に子宮から出血がある場合には、不正出血といいます。妊娠されている方の子宮からの出血は別扱いです。子宮以外の場所(膣や外陰)からの出血も疾患としては別な考え方になります。不正出血は、急に大量の出血がある場合(急性期出血)、数ヶ月間月経周期で同じような時期に出血がみられる場合(異常子宮出血)、月経の量がかなり多い場合(過多月経)など、出血の出方によって呼称が異なりますが、治療上の取り扱いも異なります。

また、一般的に女性は毎月出血をすることから、貧血になりやすいといえます。ライフスタイルの変化から、鉄分の摂取不足が指摘されています。貧血(鉄が不足すると起きるので鉄欠乏性貧血といいます)に特有の症状はありませんが、階段を上がるとふらつくなど、貧血を疑う症状がある場合、健康診断で貧血を指摘されている方は、婦人科疾患がないか振り返ってみましょう。

どんな病気が考えられますか?

子宮からの出血で主な原因疾患としては、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症子宮筋腫子宮頸がんまたは子宮体がんが挙げられ、病気としては、凝固因子の欠損、排卵障害、ホルモン系製剤投与によるものなどが挙げられます。

妊娠している場合の出血は、別扱いで考えます。

         


Critchleyら Physiol Rev. 2020 Jul 1;100(3):1149-1179.より引用
P:子宮内膜ポリープ
A:子宮腺筋症
L:子宮筋腫
M:子宮体がんおよび過形成
C:凝固異常
O:排卵障害
E:子宮内膜機能性
I:治療に伴うもの
N:その他

どんな検査をしますか?

① 妊娠の可能性の有無。
② 出血部の確認をします(外陰、膣、子宮頸部、子宮体部、尿道口)。
③ 出血の原因疾患を見極めます。原因疾患をみるために、超音波検査、細胞診検査、組織検査、MRI、CT、採血による検査などがおこなわれます。閉経後の方で出血がある場合は何らかの疾患があることが考えられますので、病院を受診するといいでしょう。
④ 薬物使用の有無(女性ホルモン剤、乳がん治療薬など)。
⑤ 内科的疾患の有無がないかどうかも確認します(出血傾向の出る疾患)。

どういった治療をするのでしょうか?

原因疾患によっておこなう治療が大きく異なります。排卵障害やホルモン系製剤によるものである場合はそれらに対応した投薬が必要です。

子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症子宮筋腫、子宮腫瘍(子宮頸がんまたは子宮体がんなど)などは、状態に応じて手術を検討することがあります。

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