不正出血

公開日:2016/03/28

最終更新日:2024/05/08

国立成育医療研究センター

この記事を監修したドクター

子どもと妊婦さんのための病院と研究所国立成育医療研究センター

共著:鶴賀 哲史 先生

生理の時以外に子宮から出血があることを「不正子宮出血(不正出血)」といいます。 妊婦さんの子宮からの出血は、生理の時以外の出血ではありますが、不正出血とは別に妊娠合併症として考える必要があります。

原因は?どんな病気が考えられますか?

不正出血の原因としては、子宮に何らかの原因がある場合と、子宮以外に原因がある場合が考えられます。子宮に原因がある主な病気としては、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症子宮筋腫子宮頸がんまたは子宮体がんなどがあります。また、子宮以外に原因がある主な病気としては、血液凝固の異常、排卵障害、ホルモン剤の投与などが挙げられます。          


Critchleyら Physiol Rev. 2020 Jul 1;100(3):1149-1179.より引用
P:子宮内膜ポリープ
A:子宮腺筋症
L:子宮筋腫
M:子宮体がんおよび過形成
C:血液凝固異常
O:排卵障害
E:子宮内膜機能性
I:治療に伴うもの
N:その他

どんな診察、検査をしますか?

不正出血かも?と思ったら、婦人科で診てもらうことが大切です。婦人科では、次のような診察や検査を行います。

① 妊娠しているかどうかの確認。
② 出血部位の確認 ※子宮からか、それ以外(外陰、膣、子宮頸部、子宮体部、尿道口)か。
③ 超音波検査、細胞診検査、組織検査、MRI、CT、採血など。 ※出血の原因疾患を見極めるため
④ お薬を使っているかどうかの確認(女性ホルモン剤、乳がん治療薬など)。
⑤ 内科的疾患があるかどうかの確認(出血のある病気があるかなど)。

治療はどんなことをするの?

特に原因となる病気がない場合は、エストロゲンやプロゲステロンを補充するホルモン治療や、止血剤を使った治療を行います。

原因となる病気がある場合は、それぞれの病気によって治療法は大きく変わってきますが、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症子宮筋腫、子宮腫瘍(子宮頸がんまたは子宮体がんなど)などは、状態に応じて手術を検討することがあります。

貧血には注意しましょう

一般的に女性は毎月生理で出血をすることから、貧血になりやすいといえます。階段を上がるとふらつくといった貧血を疑う症状がある方、健康診断で貧血を指摘されている方は、婦人科の病気がないか病院で診てもらうことが大切です。また、ライフスタイルの変化から鉄分の摂取不足が指摘されているため、積極的に鉄分を摂ることも心掛けましょう。

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