生理痛(月経痛)
公開日:2016/03/28
最終更新日:2024/05/08
この記事を監修したドクター
子どもと妊婦さんのための病院と研究所国立成育医療研究センター
生理痛(月経痛)は、生理の前や生理中に、下腹部や腰のあたりに感じる痛みのことです。原因は、痛みや発熱などに関わる「プロスタグランジン」というホルモンに似た物質が作られることにあります。
目次
生理の時には、どうして痛みがあるの?
約1か月に1度、子宮の内側にある子宮内膜はフカフカの「ベッド」のような状態になって赤ちゃんを迎える準備をしますが、妊娠とならない場合はその「ベッド」を血液と一緒に体の外に排出します(これが「生理」です)。その時に作られる「プロスタグランジン」というホルモンに似た物質に、痛みを感じやすくする作用があります。また、子宮が収縮するときに痛みを感じますが、プロスタグランジンは子宮を収縮させる働きにも関係してるため、生理の時には痛みを感じます。また、作られる「プロスタグランジン」の量が多いほど、生理痛が強くなることも知られています。
生理痛(月経痛)の痛みの強さには個人差があって、いつ婦人科を受診すればいいのか、タイミングが分からないという方もいるかもしれません。日常生活に支障がでるほどの痛みや年単位で痛みが強まる場合、生理の時以外にも痛みがある場合などは、月経困難症の可能性もあるため我慢せず婦人科に相談しましょう。
適度な運動は生理痛軽減に効果があるの?
生理前は、骨盤の血の流れが悪くなります。血の流れが悪くなると、生理痛が強まることがあるため、これを改善するために適度な運動をすることは、生理痛軽減に効果があります。生理の始まる1週間くらい前からジョギング、ウォーキング、スイミング、あるいはヨガなどを行うと良いとされています。もっと簡単に、全身の屈伸運動などでもよいでしょう。
痛みで辛い時は、痛み止め(鎮痛剤)を飲んでもいいの?
生理痛を、我慢する必要はありません。市販の鎮痛剤でもかまいませんので、痛みで辛い時などは薬を飲んでください。
痛み止め(鎮痛剤)は、痛みの原因となるプロスタグランジンの働きを抑える薬(プロスタグランジン合成阻害剤)が効果的です。
クリニックでも、ボルタレンなどの痛み止めを処方されます。また、痛みがかなり強く、早く痛みをとりたいときは、即効性のある痛み止めの坐薬も良いでしょう。
このような痛み止めを服用するときのコツは、早めに服用することです。もう我慢できないといった強い痛みを感じてから服用するより、早めに、または痛みを感じる前に服用したほうが、少ない量でよく効きます。
低用量ピルは生理痛に効果的があるの?
低用量ピルは、経口避妊薬(OC)と低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)の2種類がありますが、含まれるホルモンの割合が違うだけです。OCは主に避妊を目的として作られていて保険適応外であるのに対し、LEPは月経困難症治療薬、子宮内膜症治療薬として保険適用されています。機能性月経困難症(特に子宮や卵巣に子宮筋腫や内膜症などがない月経痛)の治療には、LEPが効果的で安全な方法です。LEPには子宮内膜の増殖を抑える働きがあり、生理の時に剥がれる子宮内膜を減少させることで出血量や月経痛を軽減することができます。
低用量ピルでどのくらい生理痛が軽くなりますか?
痛み止めを飲まなければ過ごせなかった人でも、低用量ピルを飲むことで、多くの場合痛み止めが必要なくなります。生理中、仕事を休んだり、仕事の効率が落ちたりしていた人も、多くの人が楽に過ごせるようになります。
低用量ピルを服用している間は排卵がストップするので、ほぼ100%の避妊効果があり、生理期間も短くなります。排卵を抑えるため、出血量が減りナプキンの使用量も減ります。そのため、生理の出血が多くなる過多月経の人の治療にも適しています。
また低用量ピルは、月経前症候群(PMS)にも有効です。PMSは、生理の1~2週間前から頭痛、乳房痛、イライラ、むくみ、腰痛、吐き気などいろいろな心と体の症状があり、生理の開始とともに症状が軽くなる病気です。
漢方薬も生理痛治療に効果がありますか?
漢方薬は、女性の不調改善に効果のある薬が多くあり、生理痛にも効果があることが知られています。医師の処方であれば健康保険が使えるため、婦人科を受診してみることも大切です。 生理痛に処方される漢方薬としては、当帰芍薬散、桂皮茯苓丸、加味逍遥散などがあります。