母子手帳
公開日:2016/09/30

この記事を監修したドクター
東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学教授(助産師)春名 めぐみ 先生
母子健康手帳は長く使う大切な記録
母子手帳には、妊婦健診(妊婦健康診査)や乳幼児健診(乳幼児健康診査)などの記録や、訪問指導・保健指導・母親学級などの母子保健サービスの案内と記録、予防接種(ワクチン)の接種状況についての記録がなされます。赤ちゃんの時期から小学校に入るまで使い続ける、成長の記録です。また母子手帳は医療者だけでなく、お母さんやお父さんが書きこむこともできます。覚え書きだけでなく妊娠中の気持ちの記載は、ご家族の一生の宝物になるでしょう。さらに妊娠と育児に関する育児書にもなっています。一度じっくり読んでみましょう。
妊娠中は、健診のたびに血圧、体重、尿検査の結果などをこの手帳に記録します。外出先で具合が悪くなった場合には、かかりつけ以外の産婦人科を受診しないといけないこともあります。遠方にでかける場合には、母子手帳を持っていくとよいでしょう。近年は、天災等で電子カルテが使えなくなったときにも役立ちました。感染症や血液型も記載できます。風疹の抗体価など次回の妊娠時に参考することもあります。
お子さんが生まれてからも、体重や身長などの成長の様子や予防接種などについて記録します。これらの情報はお子さんが大きくなってから必要になることもありますので、手帳は大切にとっておきましょう。
母子健康手帳のもらい方
妊娠届出書を書いて、住民票のある市区町村の保健センター・市区役所・町村役場などに提出し、母子手帳をもらいます。一部の自治体では、医師から受け取る妊娠届が必要な場合もあります。自治体によっては、母子手帳と一緒に妊婦健診や超音波検査、子宮頸がん検査の費用の一部を助成する受診票や、出生通知表が入っていますので確認して下さい。受診票によっては、使える妊娠週数が決まっているものがあります。
結婚前の人も、育てられるか自信のない人も
まだ結婚していなくて、「旧姓を後で修正するのはいやなので、名字が変わってからにしよう」と考えている人もいるかもしれませんが、母子手帳は早めにもらうことをおすすめします。結婚の予定があるなら、窓口で相談してみましょう。結婚して名字が変わったときに書き直せるように、名字を鉛筆で書くといった対応をしてくれることもあります。転居の予定がある人も、今住んでいる市区町村でもらっておきましょう。手帳の中身は全国共通で、転居しても再発行されず、使い続けます。ただし、受診票の枚数や補助する金額などは市区町村によって異なります。転居すると、受診票はもらい直すことになりますので、転入先で相談してください。
また、生活に困っている人や、妊娠したけれど産み育てられるか悩んでいる人こそ、母子手帳を受け取りに行くことは大切です。市区町村の窓口では、経済的支援の相談ものってもらえます。出産費用の貸付制度などもあります。昔と違い、おばあちゃんや兄弟が手伝ってくれるような大きな家族は少ないと思います。子供を地域で育てる時代、ひとりで悩まずに相談に行ってください。
妊娠中だからこそ自分の記録を見直してみる
母子手帳とは、お母さんがわが子の健康を願い、おなかの中にいる時から大きく成長するまでの記録を記載した大切な手帳です。あなたのお母さんがあなたを妊娠していた時にも、母子手帳を持っていたはずです。妊娠を考えていなくても、一度パートナーとふたりでご自身が生まれた時の母子手帳を見てみてはいかがでしょうか。風疹など予防接種を受けていなければ、妊娠する前に予防接種する等きっと参考になるはずです。
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