性感染症(STD)

公開日:2016/03/29

森 繭代 先生

この記事を監修したドクター

東京大学医学部附属病院女性診療科・産科 講師森 繭代 先生

10代20代を中心に増加傾向です

性感染症は、クラミジアやヘルペス、コンジローマ、淋菌など、10代~20代を中心に増加傾向にあります。

英語では Sexually Transmitted Infection、略してSTI と呼びます。Infection「感染していること」をDisease「病気」に置き換えて、STD と呼ぶこともあります。

病気の元になる菌やウイルスは、性器の周辺、精液、腟分泌物、血液などにいて、セックスなどによって感染します。
性器による性交だけでなく、オーラルセックス、ディープキスなどによっても感染します。
クラミジア、淋病、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、梅毒、HIV 感染症などおよそ15 種類の性感染症が知られています。また子宮頸がんのHPV( ヒトパピローマウイルス) も性行為によって感染します。

セックスの経験があればだれでもかかる病気です

性感染症にかかった患者さんは、パートナーとの関係に不安を抱えたり、感染したことに対する罪悪感に悩まされがちです。
しかしながら、大切なことは、性感染症は「特別な人」がかかるものではなく、性経験があれは誰でもかかりうる疾患であるという認識です。

ほとんどの性感染症は、自覚症状がありません。知らない間に感染し、人にうつしているという怖い状況があります。

特にクラミジア感染症は、男女共に、ほとんど症状がありません。感染が長く持続した場合、クラミジアは組織を癒着させながら広がります。卵管が閉塞して不妊症の原因になったり、流産・早産の原因にもなります。
重症化すると、おなかの中全体に広がって腸管や内臓の癒着を起こし、激しい腹痛のため救急車で運ばれる場合もあります。

オーラルセックスをした場合は、クラミジアや淋病をはじめとした性感染症が喉の粘膜に感染することもあります。
HIV 感染を起こす可能性もあります。
クラミジア、淋病、HIV 感染はコンドームを性行為の最初から確実につけることでほぼ予防できますが、オーラルセックスではコンドームを装着しないため、咽頭感染が広がりやすいのです。

予防にはコンドームをつけることが大事です

予防として、性行為時にはコンドームをつけることが必須。オーラルセックスのときも同様にコンドームは必要です。

性感染症は治療可能な病気です。検査を受け、必要であれば産婦人科で治療してください。感染していないことが確認できて初めて、コンドームなしで、妊娠目的のセックスが可能になるのです。

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治療は薬剤などで行います

性感染所の病気に応じた薬剤、腟錠や軟膏の処方(抗真菌剤や抗生剤ほか)、また強いかゆみにはステロイドの含まれた軟膏を処方することもあります。

また、コンドームの正しい使用法、ピルなど避妊法に関する情報提供も含めて、今後の感染を防ぐためにも医師から詳しく説明を聞きましょう。

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