だるい、疲れる
公開日:2016/05/23
最終更新日:2023/11/27

この記事を監修したドクター
政策研究大学院大学名誉教授 跡見学園女子大学 心理学部臨床心理学科 特任教授鈴木 眞理 先生
発熱があるかどうかをチェックしましょう
だるくて疲れがとれないという悩みを抱えている女性は大勢います。まず、発熱があるかどうかを必ず確認します。発熱がある場合とない場合では、疑う疾患が異なります。コロナウイルスやインフルエンザだけでなく、感染症ではたいてい発熱があり、悪寒、頭痛、咽頭痛、鼻水、咳、吐き気、嘔吐、下痢、関節痛なども伴います。
また、夏の暑い時期の発熱では熱中症にも注意します。屋外だけでなく室内でも発症します。初期はだるさ、頭痛、めまい、吐き気、筋肉痛やこむら返りなど病気を特定できないような症状が起こります。脱水と体温の上昇で全身の臓器に影響が出るのです。予防が大事となります。そのためには部屋の温度調節と十分な水分摂取が必要です。
発熱がない慢性のだるさの原因は
様々な病気が「だるさ」を伴います。発熱のないだるさの原因として遭遇する頻度の多い順に、貧血・糖尿病・肝障害・心不全・腎障害・甲状腺などが挙げられます。そのため、体重の変化・食欲不振・睡眠障害・口の渇きや多飲・息切れや動悸・便通異常・月経異常などがないかを確認します。また、抗アレルギー薬、マイナートランキライザーなどの向精神薬、抗凝固薬(血液サラサラのための薬剤)は副作用として「だるさ」があります。
子宮筋腫による出血量が多いと貧血になって、全身に十分な酸素が運ばれないので疲れます。更年期以降の女性では、空腹時血糖だけでは糖尿病が見逃されることがあります。採血で食後の血糖やHbA1cの検査・負荷テストも必要なことがあります。甲状腺疾患や膠原病は女性の多いのに、見逃されやすい病気です。いびきや睡眠時無呼吸症候群による自覚のない慢性睡眠不足による原因だるさもあります。心身の過労やストレスがきっかけで適応障害やうつ状態では、心も体もエネルギー切れして、「だるさ」も主要な症状です。「だるさ」の慢性的であり、原因がはっきりしていない場合は医療機関を受診しましょう。診断がつき治療することにより漠然とした不安からも免れることもできます。
更年期障害の症状としての「だるさ」
病気が見つからない場合は、過労や睡眠不足・ストレス・更年期症状が考えられます。自律神経のバランス異常が、だるい、疲れやすい原因になっています。 過労や睡眠不足・ストレスによる自律神経失調の改善を促すために、休養や規則正しい生活ができるようにします。自律神経失調症は「気のせい」ではなく、自律神経が適切に働かない「病気」で「気の持ちよう」では治りません。 「だるい」「疲れやすい」は日本人の更年期障害の特に多い症状です。ほかの更年期症状があれば、その治療をすることで改善できます。