膝痛、腰痛(更年期に多い症状と病気)

公開日:2016/05/23

最終更新日:2024/09/17

田中 栄 先生

この記事を監修したドクター

東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授田中 栄 先生

共著:鶴賀 哲史 先生

動作開始時、特定の動作時、長時間の立位・歩行などで起こります

膝・腰が痛い、という訴えが多いのは、ベッドから起きる時や立ち上がって歩き始める時などの動作開始時、また、正座・階段昇降・中腰などの特定の動作時、長時間の立位・歩行後などです。痛みの感じ方は、千差万別です。どのように痛むかとともに、実生活上でどのように支障があるかを、医師に訴えるときには話しましょう。
更年期世代になると、ひざや腰の関節の痛みを訴える女性が増えてきます。骨、関節や軟骨も、エストロゲンに守られてきています。更年期にエストロゲンが減少することで、関節の痛みなどの症状が出やすくなります。

どのような検査をしますか?

整形外科では、発症の引き金になったこと、痛みの性質、どのような経過かの問診が重要です。外傷歴、スポーツ歴、職業歴なども参考になります。
エストロゲンが低下する更年期世代以降の女性では、運動器の加齢・消耗性変化にともなう、変形性膝関節症と変形性腰椎症が最も多いです。しかし、レントゲン検査の所見では異常がない場合が多く、検査の結果と必ずしも相関しません。
腰痛の場合は、下肢の神経症状の有無を確認します。いずれも痛みが強く、持続していたり、悪くなっていく場合は、MRIや関節鏡で一歩進んだ精密検査で病態を把握することが必要です。

どのような治療をしますか?

運動器の発する“ある種の痛み”は、許容量を超えた使い過ぎや使い勝手の悪さから我が身を守るための“生理的警報”です。必要以上に、病的意識を持たないようにすることも大切です。
少しずつ進行していく加齢性の変化には、人体は適応していきます。痛みの現象を受け入れて、“うまく共存していく”心のあり方が大切です。
まずは、痛い動作・痛みの誘引となる動作を控えます。そのうえで、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど解熱鎮痛薬の内服薬や消炎鎮痛作用のある湿布などの外用剤、症状が強いときは、関節内注射、ブロック注射などで疼痛をコントロールします。
しかし、過度の保護は、運動不足を招いて、かえって症状を慢性化させることになりかねません。時期を見て、適度な運動・ストレッチを行うことが必要です。
長期的には、膝・腰への負担の軽減に繋がる体重コントロール、支持力の低下を防ぐ大腿四頭筋や腹・背筋強化訓練となる運動も効果的です。
また、更年期障害の治療をすることで、痛みが軽減するケースもあります。

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