甲状腺の病気

甲状腺の代表的な病気は

甲状腺の病気は、女性にとても多い病気です。月経異常や不妊、流産の原因になることも多く、女性にとっては注意したい病気です。

甲状腺の病気を大きく分けると、①甲状腺全体がびまん性に腫大してくるバセドウ病と橋本病、②しこりが触れる良性の濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、腺腫様(せんしゅよう)甲状腺腫、③甲状腺がんの3つがあります。

自覚症状、原因と検査、治療法は

甲状腺に異常を感じた場合は、内分泌内科や内分泌代謝科を受診するのがいいでしょう。特に、女性に多いバセドウ病と橋本病、甲状腺のしこりについて、その病気の症状、原因や検査と治療法を紹介します。

【バセドウ病】

バセドウ病は、代表的な甲状腺機能亢進症の病気で、20~30代の比較的若い女性によく起こります。

甲状腺がびまん性に腫大し、甲状腺ホルモンが多く分泌される結果、体温が高く、暑がり、やせる、脈が速くなる、下痢気味、落ち着きがない、情緒不安定などの機能亢進症状が現れます。月経不順や流産から、発見されることもあります。一部の人では眼球突出が起こります。

最近では、自覚症状があって受診する人も少なくなく、それ以外には、検診で「甲状腺腫が指摘された」「血中コレステロールが低い」「心房細動があってバセドウ病が疑われた」という検査結果の異常を指摘されて、受診する人も多くなりました。

バセドウ病の原因は、自己免疫機序の異常によって、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の受容体に対する抗体(TRAb)ができ、それが甲状腺を刺激するためにホルモンが多く分泌されることによります。

バセドウ病が疑われた場合の検査は、血液中の甲状腺ホルモンである遊離T4,遊離T3と甲状腺刺激ホルモン(TSH)およびTSH受容体抗体(TRAb)の4項目を採血して測定します。血中遊離T3、遊離T4が高く、TSHが抑制されており、TRAbが陽性であれば、バセドウ病と診断されます。

治療には、薬物療法、手術、放射性ヨード治療(アイソトープ治療)の3通りありますが、一般的にはメルカゾールか、PTU(プロパジール、チウラジール)の内服治療を行います。アイソトープ治療とは、131Iという放射性ヨードのカプセルを飲む治療で、この131Iが甲状腺に特異的に取り込まれて、組織を破壊する結果甲状腺ホルモンの分泌が抑えられます。手術は、約2週間の入院で、甲状腺を一部残して取り除きます。

【橋本病(慢性甲状腺炎)】

橋本病は、最も頻度の高い甲状腺の病気で、潜在性の場合を含めると40歳以上の女性では10人に1人はいるといわれ、40~50歳代の女性に多い病気です。

橋本病も、バセドウ病と同じく、自己免疫疾患のひとつですが、甲状腺機能は正常な場合がほとんどで、一部の人のみ機能が低下します。甲状腺は腫大することが多いのですが、一部に萎縮性甲状腺炎と呼ばれ、甲状腺は腫れず、逆に萎縮して機能が低下してしまう場合もあります。

機能が低下する症状としては、体温が低く、寒がり、月経不順、乾燥肌、太る、むくむ、脈が遅い、便秘、動作が鈍い、無気力感、気分がふさぐ、眠くなるなど、さまざまな症状が多く、ほかの病気と間違われることもあります。たとえば、うつ病、更年期症状、自律神経失調症、肝疾患などと診断されて、長期間治療を受けていた例もあります。

検査は、甲状腺を触診することと、採血で甲状腺自己抗体である抗マイクロゾーム抗体(あるいはTPO-Ab)か、抗サイログロブリン抗体(TgAb)が陽性であると、甲状腺機能低下症と診断されます。検診などで行う一般的な検査項目では、貧血があったり、血中コレステロール値が高く、肝機能障害が現れることがあります。検診でこのような結果が出たときは、甲状腺の病気を疑って、内分泌内科や内分泌代謝科を受診しましょう。

甲状腺機能低下症で橋本病と診断された場合は、甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)を服用して治療します。

【甲状腺の結節性病変】

甲状腺のしこりには、良性と悪性のがんがあります。

良性の病気には、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)と腺腫様(せんしゅよう)甲状腺腫という病気が考えられます。

悪性(甲状腺がん)では、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、未分化がん、髄様(ずいよう)がんなどがあります。甲状腺がんは、乳頭がんがほとんどで、40~60歳の女性に多い病気です。

いずれの甲状腺がんの場合でも痛みはなく、偶然、検診で見つかったり、胸部CT検査で甲状腺に異常を指摘されて見つかります。最近では、PET(ポジトロンエミション断層)検査で、甲状腺に異常がみつかり、精密検査が必要と指摘される場合も増えてきました。

確定診断は、超音波検査と超音波下での穿刺吸引細胞診を行って病理診断でわかります。良性の場合でも、4cm以上に増大してきた場合やがんの疑いがある場合は、手術を行います。乳頭がんでは、甲状腺亜全摘術と所属リンパ節の郭清術を行いますが、ほかの部位のがんと異なり、手術で治すことが可能ながんのひとつです。