Q35.「妊娠をしたのですが、同時に糖尿病にもなっていました。とても不安です。」

A35.「妊娠ステージで注意点が異なります。血糖コントロールを上手にしましょう。」

どんな症状? どんな病気?

妊娠中の糖尿病には、2種類あります。すでに糖尿病に罹っていて妊娠した場合の『糖尿病合併妊娠』と妊娠によって引き起こされた『妊娠糖尿病』があります。

治療や対処法は?

『糖尿病合併妊娠』で注意しなくてはいけないのは、『児の奇形』と『母体の網膜症の進展』をいかに防ぐかです。まず奇形については、妊娠初期の母体のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)と胎児の奇形の発生率には正の相関があります。また、妊娠中は網膜症が進行しやすいといわれています。妊娠の可能性がある女性には、血糖コントロールをしてから妊娠すること、眼科医の検診を受け必要があればレーザーなどの治療を受けてから妊娠すること、などの計画的な妊娠の指導を徹底する必要があります。妊娠前のコントロール目標としてHbA1cを正常範囲にすることは理想ですが、せめて6.9%以下を目標にしたいものです。
妊娠初期の問題が解決した後は血糖コントロールを上手にしていきます。妊娠中期以降は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が増し血糖が上昇してきます。母親のグルコースは胎児に移行するため、血糖が高いと胎児のインスリンの産生が高まり巨大児や分娩時低血糖の原因となります。血糖値は極力生理的な変動範囲に治めるべきです。空腹時100mg/dl以下、食後120mg/dl以下を目標にします。エネルギー制限および分割食で充分なコントロールが得られない場合はインスリン療法となります。

予備軍を含め1400万人もの糖尿病がいるといわれる日本で、高齢妊娠の増えている状況では肥満、家族歴の有無いかんに関わらず妊娠前にしっかりとした評価が必要でしょう。「妊娠糖尿病」のほとんどは出産後に正常化しますが、糖尿病予備軍であることに違いありませんので中年になって本物の糖尿病にならないよう注意が必要です。