基礎体温

自分の体を知る秘訣は、基礎体温にあります

基礎体温とは、生命を維持するのに必要最小限のエネルギーしか消費していない安静時の体温です。つまり、寝ている間の体温を指していますので、朝起きて、すぐに舌の下で検温することが大切です。専用の婦人科体温計を用いて測定します。
女性の体は、排卵したあとに、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌に合わせて、少しだけ体温が上がります。基礎体温を継続して測定していると、この低温期から高温期への移行があることで、排卵が起こったことがわかるようになるのです。
また、女性は、女性ホルモンの関係で、排卵前と排卵後では、体の状態が大きく変わります。そのため、通常の生理周期の排卵の前後、さらに妊娠で大きく変動する女性ホルモンの関係から妊娠中の心身のケアや心構えまでが変わります。それは、自分自身の命のリズムです。きちんと知ることで、より自分に自信が持てるようになります。それが基礎体温の検温の最大のメリットです。目覚めてすぐに検温することで、自分の大切な体のリズムがわかります。

基礎体温でわかる月経周期のこと

基礎体温を測っていると、自分が今、「低温期」あるいは「高温期」にいるのかがわかります。「排卵」のタイミングもわかります。また、「そろそろ月経がくるな」ということもわかります。
月経が28日周期の場合、月経の初日の1日目~排卵までの約2週間は、低温期(個人によってバラつきがあります)です。この低温期の期間は、エストロゲンが分泌され、子宮内膜が増殖していきます。エストロゲンの分泌がピークになると、脳の視床下部、下垂体から黄体形成ホルモン(LHサージ)という排卵を司令するホルモンが出て、排卵が起こります。排卵が起こると、その後、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が始まるので、低温期より0.3~0.5℃、基礎体温が上昇する高温期に入ります。高温期は12~14日続きます。16日以上、高温期が続く場合は妊娠の可能性があります。
また、体温が上がらず、低温期が続いていたら、無排卵の可能性もあります。

注意すべき基礎体温のパターンがあります

基礎体温を測ると、わかってくるパターンがいくつかあります。気をつけたい5つのタイプを紹介します。

① 低温期が続く 無排卵月経の疑い
月経から次の月経までの間、基礎体温の値がほぼ変わらず横ばいで、さらにグラフが低い状態が続く場合は、無排卵月経の疑いがあります。妊娠するための排卵ができていない可能性があり、女性ホルモンの分泌が低下していることも考えられます。

② 高温期が短い 黄体機能不全の疑い
排卵後のプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌期間が短くなっている状態。これは、卵巣の働きが悪くなっていて、妊娠を阻害する原因になります。また、妊娠しても、受精卵がうまく育たない可能性があります。

③ M字パターン 黄体機能不全の疑い
高温期に入ったのにもかかわらず、一時的に基礎体温が下がるパターン。②の高温期が短いパターンと同様に、卵巣の働きが悪くなっている、黄体機能不全の可能性があります。

④ 基礎代謝が低い人
基礎代謝が低いと、体に熱をつくれません。基礎体温を測ると、体温が低すぎる可能性があります。高温期になっても、低めの体温が続いていると、この場合も排卵に影響すると可能性があると考えられます。

⑤ 低体温の可能性
平熱が35℃台であったら、平熱が低い原因を確認することが大切です。心身のストレスや環境の影響などで、自律神経のバランスが崩れていたり、免疫力が低下している可能性も考えられます。

ひと月の体のリズムがわかります

卵巣のタイミングや月経のタイミング以外にも、女性の体の周期による体調のリズムなど、基礎体温でわかることはたくさんあります。基礎体温と合わせて自分の心、体、肌のリズムを知ると、毎日のケアにも役立ちます。

①月経期と排卵日がわかる
仮に月経が28日周期の場合、月経開始と同時に低温期が始まります。低温期は12日~16日間続きます。低温期のあと、高温期に変わったら、そのころに排卵があったと推定できます。月経開始日から13日~14日目に排卵が起こることが多いです。もちろん個人差はあります。排卵後は、高温期が約14日間続き、その後、体温が下がり、月経になります。また、基礎体温が二相性になっていれば、排卵があると推測できます。

②女性ホルモンの状態がわかる
高温期の基礎体温が全体的に低かったり、期間が短かったりする場合は、卵巣の働きが低下している可能性があります。また、低温期しかない場合は、月経があっても、無排卵の可能性があります。

③体のリズムがわかる
基礎体温で心身のリズムのパターンがわかります。イライラする、落ち込む、乳房が張る、吹き出物ができる、便秘肩こりが起こるなど、よく起こる不調が月経周期のどのあたりに起こるのか、毎月のパターンがわかるようになります。

④低体温の可能性がわかる
一般的に、36℃未満を低体温と言います。低体温だと、冷えの症状が出たり、消化不良や疲れやすいといった不調が起こります。基礎体温をつけることで、低体温に気づくことができます。

⑤肌トラブルの周期がわかる
特に月経前の1週間の高温期は、皮脂の分泌が多くなり、吹き出物ができやすくなります。刺激のある食材や甘いもの、アルコールなどの摂りすぎに注意します。また、肌がトラブルを起こしやすい時期なので、新しい化粧品を使い始めることやピーリングなど刺激の強いケアは避けましょう。

⑥太りやすい時期がわかる
プロゲステロン(黄体ホルモン)には、水分を蓄える作用があります。そのため、月経前は水分が排出されにくく、むくみやすくなります。また、この時期は食欲が増したり、気分がイライラしたりして、過食に走りやすい時期でもあります。ダイエットをしても効果が出にくく、逆にストレスになります。ダイエットは、低温期に行ったほうが、ストレスが少なく、効果があります。

基礎体温を習慣にするために

①近くに体温計を置いて眠りましょう
基礎体温は朝目覚めたら、起き上がらず、横になったままの状態で検温することが大事です。あらかじめ、枕元に婦人体温計を準備して寝ましょう。起床時間がまちまちな人は、起床後すぐに測り、時間をメモしておくといいでしょう。

②朝、目覚めたら起き上がらずに測定
基礎体温は、婦人体温計を使い、舌の下で測ります。婦人体温計を舌の裏側のつけ根に当てます。婦人体温計を舌で押さえ、口を閉じたままで検温します。検温中は口で息をしないようにします。

検温後、体温を基礎体温表に記録します。月経、体調不良、性交日なども記録しておくと、どんなことが体温や体調に影響するのかが自分でわかります。婦人体温計には、検温時間が短く、5分後の平衡温を予測する「予測式」と、実際に約5分間測る「実測式」があります。計測した基礎体温をパソコンやスマートフォンで管理できるシステムもありますので、自分の使い勝手に合わせて、使いやすいものを選ぶといいでしょう。最近は、スマートフォン用やパソコン用の無料アプリにデータを転送して、グラフ管理や月経や体調などが登録できます。排卵推定日や月経開始推定日も表示されるサービスもあります。

低温期と高温期の基礎知識

基礎体温を測ることが習慣になるといいですね。まずは、低温期、高温期、そして平熱についての基礎知識をここで確認しましょう。
正常な排卵が行われている女性は、基礎体温は、低温期と高温期の二相に分かれています。低温期、高温期は、排卵を挟んで、2週間程度あって、ひとつの周期になっています。
基礎体温を記録して、自分の体の状態を知るには、1周期だけでなく、2~3周期は確認してください。1か月(1周期)では、平均的な体調が判断できないからです。初めの1か月で二相に分かれていなかったとしても、それだけでは判断できないことが多いからです。
低温期と高温期では、基礎体温に約0.3~0.5℃くらいの差があります。けれども、平熱36℃の人が36.5℃になるということとは違います。平熱には、定義がないのですが、活動時の体温のことを指しています。活動時の体温は、測るタイミングや発熱などで通常1~2℃は変化します。一方、基礎体温は安静時の体温で、小数点以下2ケタのところでの小さな変化を確認します。これは、女性ホルモンの変動を確認しているので、体の熱である体温とは別と考えていいのです。