甲状腺機能異常(バセドウ病、橋本病)

甲状腺は、のどぼとけの下に存在する蝶々形をした組織です。甲状腺の働きは甲状腺ホルモンを産生することです。甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にするホルモンですが、妊娠の維持、子どもの成長にも重要なホルモンです。

バセドウ病
TSH受容体抗体とよばれるタンパク質が体内で作られ、これが甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰に産生される(甲状腺機能亢進症)病気です。TSH受容体抗体ができてしまう原因は今のところよく分かっていません。治療は内服治療、放射線治療、手術などがあります。甲状腺ホルモン値が良好に保たれていないと、流産や早産などのリスクが上昇するため、妊娠中だけでなく妊娠前から甲状腺ホルモンのバランスを良好に保つことが大切です。
また、内服治療で使用する薬の中には妊娠初期に服用すると、特定の奇形(チアマゾール関連奇形症候群)のリスクを高める薬があるため、妊娠を希望する場合には妊娠前から担当医に相談することが大切です。

橋本病
甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気で慢性甲状腺炎とも呼ばれる病気です。炎症の結果、甲状腺ホルモンが不足する場合があり、この状態を甲状腺機能低下症と言います。甲状腺ホルモンが明らかに不足する手前の状態(潜在性甲状腺機能低下症)も含め、甲状腺機能低下症は、不妊や流産、早産、妊娠高血圧症候群(別項参照)などのリスクになるため、妊娠中だけでなく妊娠前から甲状腺ホルモンのバランスを良好に保つことが大切です。妊娠前や妊娠中は、甲状腺ホルモンバランスの目標値が一般基準値と異なり、やや厳しくなります。そのため、妊娠を希望する場合や妊娠した場合には、担当医にその旨を伝えることが大切です。