出産(お産の種類、分娩トラブル、帝王切開、会陰切開など)

安全なお産を応援するのが助産師と産科医の役目です

お産に際して、妊婦さんのお手伝いや陣痛をやわらげるように協力するのが、助産師さんです。分娩中に母体に異常が生じた場合や、胎児に元気がなくなった場合など、なんらかの処置が必要になります。このような場合は、産科医の管理のもとに行われます。分娩の異常をすみやかに発見し、正常に戻るように、母子ともに安全に出産を進めることが、助産師と産科医の役目です。

破水とおしるしとは?

赤ちゃんを包んでいる膜が破れ、子宮内の羊水が外へ流れ出てくるのが破水です。多くは、分娩途中に起こりますが、陣痛が始まる前に起こることもあります。水がたくさん出ることもありますが、あわてずすぐに病院へ連絡しましょう。
おりものに血が混ざってピンクや茶色になるのは、“おしるし”です。お産が近い証拠。慌てず、陣痛が始まるのを待ちます。ただし、出血の量が多いときやいつまでも出血が続くときは、子宮内から出血している可能性もあります。かかりつけ医に相談してください。

分娩誘発と計画分娩は母子の安全を守る大切な処置

予定日を過ぎても陣痛が始まらないときや、破水したのに陣痛が起こらないときなどに、陣痛促進薬を使って分娩を人工的に進めることを「分娩誘発」といいます。また、分娩日時を計画的に操作するのが「計画分娩」です。いずれも、母子の安全を守るために、選択する大切な処置です。
また、分娩経過中に、胎児の元気がなくなったり、母体の健康に危害が及ぶと考えられる場合は、医師による介入が必要になります。医師から帝王切開や分娩誘発をすすめられたときは、落ち着いてよく説明を聞いて、納得したうえで処置にのぞみましょう。産科医だけでは対応が難しい場合もあります。その場合は新生児専門の医師がいる病院に転院したり、搬送されたりすることもあります。

帝王切開はどんなときに行うの?

帝王切開には、予定帝王切開と緊急帝王切開があります。予定帝王切開は、患者さんも医療スタッフも万全の準備をして行います。
赤ちゃんが逆子や双子、または以前に帝王切開での出産や子宮筋腫の手術などで母体の子宮に切開した既往のある場合に行われることが多いです。一方、緊急帝王切開は、赤ちゃんの心拍数減少、分娩停止、大出血などが起こった際に実施します。
帝王切開は、おへその数センチ下から恥骨上まで、縦に切開、あるいは恥骨上を横に切開します。膀胱を少し降ろし、その下を横に切開(子宮下部横切開)し、赤ちゃんを娩出します。妊娠週数が早いときは、子宮の伸展が十分でないため、子宮体部の縦切開を行ないます。
帝王切開を行う場合は、今回だけでなく、次回の妊娠出産のリスクについても聞いておくようにしましょう。帝王切開しても、2人目、3人目のお産ももちろん可能です。2人目のお産を経腟分娩するか、帝王切開するかは、施設の方針、妊娠末期の赤ちゃんの大きさ、胎位、子宮口の状態で変わります。主治医に相談してください。
現在は前回帝王切開では予定帝王切開が行われる施設が多いです。一般的には、帝王切開後は、子宮の傷が治るまで、約1年は次の妊娠を控えます。特殊な切開を行ったり、帝王切開時にいっしょに子宮筋腫を摘出した場合などは、個別に説明がありますので、医師の説明をよく聞いて相談してください。

【帝王切開が必要になる場合は…】
全置胎盤、前置血管、児頭骨盤不均衡、狭骨盤、多胎妊娠、子宮頸部に子宮筋腫がある場合、卵巣腫瘍が骨盤内にあるとき、過去に帝王切開をした、筋腫の摘出手術をした、子宮の手術をした場合などは、帝王切開が必要になる可能性がありますので、医師と相談しましょう。

和痛分娩(無痛分娩)とは?

薬を使って痛みをやわらげ、できるだけ少ない痛みで分娩することを「和痛分娩(無痛分娩)」と言います。薬剤の種類も投与方法もさまざまですが、麻酔が深くなるほど、陣痛が弱くなって分娩が長引くというデメリットがあります。医師やご家族とよく相談して決めてください。

会陰切開とは?

分娩のときに、会陰の裂傷を予防して、分娩時間を短縮し、母体と赤ちゃんの安全を確保する目的で、あらかじめ会陰を小さく切開しておくことを会陰切開と呼びます。
裂傷がひどいと、排便障害や性交時痛などの後遺症が残ることもありますから、生活の質の保持のためにも、会陰裂傷の予防は重要です。

過去には、ほとんど全員に会陰切開を行っていた時代もありました。しかし、最近ではひとりひとりの会陰の状態や分娩経過などに応じて必要性が判断され、必要な場合に選択して行うことが多くなっています。会陰切開が必要かどうかの判断は、分娩直前に行われることがほとんどです。

【会陰切開を要する場面】
① 会陰部の伸展が不十分で、複雑または高度な会陰裂傷が予想される
② 胎児の状態がよくなく、会陰部の抵抗が強く胎児の頭がなかなか出てこない
③ 鉗子分娩や吸引分娩などの必要がある
④ 巨大児分娩や肩甲難産(胎児の肩が恥骨に引っかかって出られない)が予測される
⑤ 低出生体重児や頭蓋内疾患がある胎児で、胎児の頭への圧迫を軽減したいとき

通常は、切開部に局所麻酔をしてから会陰切開を行いますが、分娩時の痛みのほうがはるかに強いため、麻酔をしなくても切開時の痛みは感じないという人も多いです。切開はハサミで行います。
おもに正中切開と正中側切開のふたつの方法があります。正中切開法は、会陰中心部から肛門に向かって、縦にまっすぐ切る方法。出血が少なく、術後の痛みが軽度で、縫合しやすく傷の治りがよいことが特徴です。
正中側切開は、陰唇の一番下から肛門括約筋を避けて、坐骨結節(ざこつけっせつ)に向けて斜めに切開する方法。これは、比較的出血量が多く、術後の痛みも強い傾向にあります。吸引分娩や鉗子分娩などの場合は、ある程度大きな会陰切開が必要になるため、この方法が多くなります。
会陰切開の傷は、分娩終了後、全体の縫合を行う中で、縫い合わせて閉鎖します。最近は、溶ける糸で縫合することが多く、抜糸の必要がありません。