ドライシンドローム(ドライマウス・ドライアイ・腟の乾燥)

ドライマウス

口のネバネバ感、口臭や美味しくないなども
ドライマウスの症状としては、口が渇く、舌がヒリヒリする、しゃべりづらい、口の中がネバネバする、食べ物が飲み込みづらい、口臭が気になる、味が美味しくないなどがあります。更年期障害の一症状の場合もありますが、ほかの病気の可能性もありますので、症状がつらく長引く場合は、婦人科か内科を受診しましょう。

どんな検査をしますか?
視診に加えて、口腔水分計、湿潤度検査紙で、舌表面の湿潤を測定する方法や唾液分泌量検査(ガムテスト、サクソンテスト)で診断します。
自己免疫性疾患の膠原病のひとつであるシェーグレン症候群との見極めが必要な場合は、診断基準に基づいて、唾液腺シンチグラフィー、唾液腺造影検査や病理組織検査、血液、眼科検査を行います。

ドライマウス専用の保湿ジェルやマウスウォッシュなどのケア用品を上手に使いましょう
ドライマウスの原因は、加齢、服用薬物の副作用、ストレスのほか、更年期におけるホルモンの変化、シェーグレン症候群や糖尿病などの内科的疾患、放射線治療後の副作用などがあります。シェーグレン症候群には、唾液分泌を促進させる薬剤(塩酸セビメリン水和物製剤)を処方することもあります。
しかし、ドライマウスに対しては、対症療法が中心です。舌の痛みは、唾液分泌量減少による粘膜保護作用の低下が原因のため、創傷治癒促進作用のあるアズレン製剤の処方で症状はかなり改善します。
セルフケアとして、市販のドライマウス専用の口腔保湿ジェルやマウスウォッシュ(アルコールを含まないもの)、保湿スプレーを併用すると有効です。使用中の歯磨き剤がしみる人は、ドライマウス専用の発泡剤を含まないものに替えるなど低刺激の物を選択します。また、ドライマウスは唾液に含まれる免疫作用の低下により、虫歯、歯周病などや口腔カンジダ症にも留意しなければなりません。
日常のケアとして、唾液腺刺激のためにゆっくり噛むことや、唾液腺マッサージを行なったり、口の周りや舌を動かすストレッチを行うのもよいでしょう。ストレスをためないためにリラックス時間を増やすことも大切です。

ドライアイ

目がゴロゴロする、涙が出る、かゆくなるなども
ドライアイの症状は、目が乾くだけではありません。目がショボショボする、ゴロゴロする、目が疲れる、目があきにくい、急に涙が出る、目が赤くなる、目がかゆいといったさまざまな症状があります。
更年期世代の女性は、皮膚も乾きますが、粘膜も乾きます。口の渇きとともに、目の乾きも増加します。また、湿度が低下して肌荒れが気になる季節には、ドライアイの症状も悪化します。

どのような検査をしますか?
ドライアイの診断は、涙の量を測定するシルマーテスト、乾燥した部分の粘膜を染色するフルオレセイン染色やローズベンガル染色を用いて行います。
シルマーテストは、短冊状の濾紙を結膜に5分間挟み、涙で湿った部分の長さを測定する方法です。正常は10mm以上ですが、ドライアイでは5mm以下です。染色検査では、染色部分の範囲をスコア化し重症度を判定します。シェーグレン症候群では、涙腺や唾液腺生検による病理学的検査、ドライマウスの検査、自己抗体の血清学的検査を組み合わせて行います。

点眼のほか、加湿器を使うことも有効です
乾燥対策は、防腐剤無添加人工涙液の頻回点眼、ヒアルロン酸点眼(0.1%ヒアレイン点眼液)による治療をします。
冷たい乾燥した風は、症状を悪化させるので、ゴーグル型のドライアイ保護用眼鏡(モイスチャーエイド)が役立ちます。症状が改善しない場合は、涙の排出口をシリコンの小さいプラグ(涙点プラグ)でふさぎ、涙をためる治療を行います。
コンピューター作業、エアコン、車の運転、飛行機の中、コンタクトレンズ装用など生活の至るところにドライアイ要因があります。毎日の生活では、加湿器を使う、ゆっくり入浴するなど、湿度をあげる工夫が必要です。

腟の乾燥

エストロゲンの減少で粘膜も乾燥します
粘膜や皮膚の張りやみずみずしさを保っているのは、エストロゲンの作用です。エストロゲンには、腟粘膜を柔軟な状態に保って、性的に興奮したときなどに分泌液を増やす働きがあります。そのため、更年期になってエストロゲンの分泌が減少すると、皮膚が萎縮して乾いた状態になるのと同様に、腟が乾燥して柔軟性が悪く、薄くなります。
腟の粘膜や周囲の皮膚も薄くなるため、性交痛が起こりやすくなります。腟粘膜が薄くなることから、腟内の自浄作用が衰えて、細菌に感染しやすくなり、腟炎になる場合もあります。
また、エストロゲンが減少することで、膀胱炎を招くこともあります。エストロゲンの分泌が低下すると、尿道の粘膜も薄くなって細菌の侵入を許しやすくなるからです。

ホルモン補充療法や漢方薬で改善も
ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬で、治療の効果があります。更年期の症状がほかになく、症状が腟だけに限られている場合は、内服薬以外に、腟座薬が用いられることもあります。これを数日使うと、腟の入り口や粘膜に潤いが出てきて、痛みを感じなくてすみます。

性交痛がある場合は
腟が乾くことで性交痛が起こりやすくなります。我慢したまま性生活を続けていると、不満が重なり、ますます痛みを感じるようになります。夫婦の関係もしっくりいかなくなることもありますので、パートナーに女性の更年期の体のメカニズムについて説明し、理解を求めてください。また、性器の挿入をスムーズにする潤滑ゼリーなどもあります。

感染を起こさないように清潔を心がけて
外性器の乾燥が気になる人は、デリケートゾーンに日常的に使うケア用の保湿液や洗浄剤も市販されていますので、試してみるとよいでしょう。
腟内は、本来弱酸性ですが、エストロゲンが減少すると、腟内の酸性度が落ちて、細菌に対する抵抗力が落ちてきます。その上、粘膜も薄くなり、傷がつきやすい状態です。細菌感染を起こしやすくなりますので、外陰部の清潔を心がけることが大切です。
強いかゆみを感じたり、おりものが増えるなどの症状があるときは、感染の可能性を考えて、婦人科を受診しましょう。