うつ

“うつ”にもさまざまなタイプがあります

「うつ」という言葉がかなり浸透してきましたが、ひと口に「うつ」といってもいろいろなタイプがあります。

いわゆる「うつ病」は、特に原因やきっかけがはっきりしなくても起こることがあり、治療や自然経過の中で一度回復しても、再びうつの状態を繰り返す可能性が高い病気です。うつ症状だけではなく、躁症状との両方を繰り返す「躁うつ病」もあります。

これとは別に、うつ病ほどはっきりした落ち込みや日常生活のひどい支障はないものの、なんとなく憂うつで悲観的に考える状態がダラダラと長く続きやすい「気分変調症(抑うつ神経症)」や、女性ホルモンの変化に運動した「月経前症候群(PMS)の一症状としてのうつ」、「マタニティ・ブルー」、「更年期障害にともなううつ」もよく見られます。
ほかにも、甲状腺などのホルモン疾患にともなううつや、一部の薬剤の影響で起こるうつ、慢性・難治性の病気に罹患したことにより起こるうつもあります。

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女性のうつは男性の2倍です!

日本では、人口の約5%ほど、うつ病患者がいると言われています。特に、近年、うつの増加傾向が見られます。
男女比は、1:2で女性のほうが男性の倍、うつになりやすいといわれています。
うつを発症する年齢は幅が広く、20代後半~50代の働き盛りに特に多く見られます。ただ、最近では、老年期のうつや子どものうつも知られるようになり問題になっています。

環境やストレス、性格などさまざまな要因が関係します

うつの発症には、環境や性別、ストレス、個人の性格や遺伝的要素など、さまざまな因子が関係するといわれています。
この中で最も影響しやすいのがストレスであり、強いストレスやそれほど強くはなくても長くストレスが続くことをきっかけに、うつが発症することがよくあります。
また、几帳面でまじめ、責任感が強いといった一見良い人と思われる性格傾向の人や、環境の変化に弱い人がうつになりやすいといわれています。ここで言う環境の変化とは、引っ越しをはじめ、仕事の一段落でほっとしたこと、結婚、出産、昇進といった普通は「喜ばしい」と思われることでも、変化ではあるため、うつの引き金になることがあります。
しかし、これらはあくまで、うつのきっかけであり、うつ発症のそのものの原因は、脳内のセロトニンという神経伝達物質の減少と考えられています。

うつにはどんな症状がありますか?

うつの症状には、精神的な症状と身体的な症状があります。

精神面での特徴は、憂うつ感と興味・関心の低下がおもで、ほかに意欲、集中力低下、自信低下、罪責感、悲観的思考、睡眠障害、自殺を考えるなどがあげられます。
身体的には、疲れやすさを始め、食欲低下、頭痛肩こり、動悸、息切れ、のどのつまり感、めまい感便秘・下痢、性欲低下など多種多様です。しかし、検査をしてもそれぞれに明確な病気はないといわれる状態です。
また、不眠や食欲不振でなく、過眠傾向や過食気味になる場合もあります。
女性の場合、家事の困難、特に料理のための買い物や調理が困難になったという報告も多くきかれます。

うつの診断は、国際的に使用されているICD-10やDSM-IVという診断基準を用い、症状や経過と照らし合わせて行います。

休養と抗うつ剤の薬物療法がおもな治療です

何よりもまず休養と、抗うつ剤を中心とした薬物療法がおもな治療法です。症状の回復過程で、マイナス思考を変化させる認知療法や、心理面接などを併用することもあります。

ただし、抗うつ剤の中には、プロラクチンというホルモンを上昇させやすいものもあり、これによって、月経不順や月経の停止、乳房緊満と乳房痛、乳汁分泌などを引き起こし、別の病気かと心配したり、QOLに影響する場合もあります。
医師とよく相談して使用する必要があります。抗うつ剤の効果の出方や副作用についてもあらかじめ情報を得ておくと良いでしよう。
怠けではなく、脳の変化によるものなので、叱咤激励は厳禁です。