子宮内膜症

子どもを産み育てる世代の女性の5~10%は子宮内膜症とも!

子宮内膜症は、本来、子宮の内側(内腔)にある子宮内膜が違う場所に発生してしまうことで、月経痛をはじめとする疼痛と不妊がおもな症状です。
腹膜、卵巣の深部、あるいは臓器の癒着などといったさまざまな状態を起こします。
近年、子宮内膜症は、増加が指摘されていて、10代後半から発生して、加齢とともに増加しています。
40代後半の閉経期を迎えると、急速に減少します。子どもを産み育てる世代(生殖年齢層)にある女性の5~10%は子宮内膜症に罹患していると言われています。
子宮内膜症による痛み(疼痛)は、就学、就労の妨げとなって、不妊症の原因ともなっています。現代女性のQOLを著しく損なう疾患です。

痛みが最も多い症状。不妊症の原因にも

日本内膜症協会 http://www.jemanet.org/index.php の調査では、確定診断された子宮内膜症患者のうち、月経痛は88%もの人に見られ、月経時以外の下腹部痛は72%、腰痛は57%、性交痛57%、排便痛39%と疼痛症状が高頻度です。
不妊は51%と半数に認められます。
その他、月経異常(月経過多、不正出血など)、疲れやすいなどがあります。
頻度は少ないですが、内膜が骨盤内の臓器の外に広がる場合もあって、消化器、泌尿器、呼吸器症状などにも症状が現れます。

どのような検査をしますか?

婦人科では、
①どのような症状が、いつ、どの程度あるのかほかの問診をします。
②内診、直腸診を行って、子宮の大きさ、子宮の可動性、痛みがあるか、ダグラス窩や卵巣の状態をみます。
③経腟超音波検査で子宮、卵巣の状態を詳しくみます。
④血液検査で腫瘍マーカー(CA125)をチェックします。(比較的進行した子宮内膜症では陽性になりますが、初期や軽度の子宮内膜症では病気があっても陽性になる例は少ない)
⑤MRIでは血液の流れや滞りなどを診断できるので、チョコレート嚢腫とそれ以外の卵巣腫瘍や悪性の見極めに行うことがあります。
⑥確定診断のためには、腹腔鏡検査を行うことが必須です。

実際、婦人科では①~⑤の検査で、子宮内膜症として治療を開始します。
けれども、不妊症で子宮内膜症が疑われる場合は、腹腔鏡検査を行うことが必要です。腹腔鏡は技術の向上によって、検査と同時に治療もでき、確定診断により、その重症度を把握できます。その重症度のレベルに合わせて、薬物療法の選択も、より確実にできるメリットがあります。

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薬による治療と手術による治療があります

「手術療法」
子宮内膜症が薬物療法でコントロールできなくなった場合に行います。チョコレート嚢腫など明らかな器質的な病変がある場合にも行うことが多いです。
卵巣を残す保存療法では、腹腔鏡や開腹で病巣だけを切除および焼きます。保存療法は再発の可能性があるため、術後も薬物療法の検討が必要です。

チョコレート嚢腫は、6cm以上のものは手術を考えます。チョコレート嚢腫は40歳以降に悪性化(卵巣がん)することがありますので注意が必要です。40歳以降で4cm以上のものは手術をすすめられます。
根治(完全に治す)手術では、子宮卵巣を摘出して、閉経状態になります。再発の可能性はありませんが、その後、更年期症状のケアや脂質異常症(高脂血症)、骨粗鬆症などの予防が必要になります。

「薬物療法」
対症療法として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や漢方薬などを使います。
ホルモン療法のGnRHアナログは、偽閉経状態にするため治療効果は期待できますが、更年期症状や骨量の減少などの問題があります。
ダナゾールは、肝機能障害、血栓の副作用から、最近は選択することが少なくなっています。
低用量ピル(OC)による治療は、効果は劣るものの、疼痛に関しては上記に並ぶ効果を示します。内膜症病巣の増殖を抑制するといわれています。超低用量ピル(LEP)は、子宮内膜症の治療薬として保険適用になっています。

治療法はどう選択していけばいいのでしょう?

治療方法の選択は、病態、病状、年齢、妊娠・出産の希望の有無により、さまざまで個別の希望に合わせて考えていきます。
内膜症は、本来月経が繰り返されるたびに進行し、閉経まで完治しません。それゆえ、患者であるあなた自身が、病気を理解し、閉経までうまくつき合って痛みを取り、望むなら妊娠できるよう治療をデザインすることが大切。それを医師と一緒に話し合って、自分自身で選択していくことが治療にとって大事です。

婦人科や女性外来では、①~⑤の検査で、臨床的に子宮内膜症と診断した後、妊娠希望がなければ患者と相談し、低用量ピルをまず3~6か月処方しています。
低用量ピルは、生殖年齢の女性にとっていちばん使いやすく、その間に患者さん自身が今後の治療について考える時間を得られ、ピルで症状が改善するか否かをみるメリットがあります。
その間、患者さんの望む治療に変更することもありますが、ピルで治療を続行することが多く、病態の改善(チョコレート嚢腫の縮小など)には時間がかかりますが、症状の改善には良い結果が得られています。
もちろん、薬物療法中に、子宮内膜症の症状が悪化したり、病態の悪化(チョコレート嚢腫の増大など)があれば、腹腔鏡検査や手術療法に進み、確定診断をした後、治療法の再検討をする場合もあります。