子宮腺筋症

どのような病気でしょうか?

子宮腺筋症は、本来子宮の内側(内腔)に位置する子宮内膜に類似した組織が子宮筋のなかにできる病気です。子宮内膜症も子宮内膜が違う場所にできる病気ですが、子宮筋以外の場所にできるものを指します。子宮にできる良性の病気という点では子宮筋腫と似ています。子宮腺筋症の特徴として病変と子宮筋との境界がわかりにくくなっています。この点が、子宮筋腫がこぶ(腫瘍)をつくって子宮筋との境界がはっきりしているのとは対照的な特徴です。
子宮腺筋症は30代後半から50代にかけて病変が大きくなり、症状が出現してきます。子宮内膜症のように強い月経痛を引きおこしたり、子宮筋腫のように月経量が増加し(月経過多)、貧血になったりします。月経時以外の下腹痛・腰痛や出血をおこすこともあります。また、子宮腺筋症の患者さんが子宮筋腫、子宮内膜症、不妊症を合併していることもしばしばあります。現代女性のQOLを著しく損なう病気の1つです。
子宮筋腫や子宮内膜症と同じように、女性ホルモンの影響を受けて病気が悪くなりますが、閉経後には病変は縮小し症状も消失することがほとんどです。

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どのような検査をしますか?

婦人科では、
①どのような症状が、いつ、どの程度あるのかについて、問診をします。特に、月経痛と月経過多の症状でどの程度生活に支障がでているか、という点が治療を考えるうえで重要なポイントです。 ②内診や、必要に応じて直腸診を行って、子宮の大きさ、子宮の可動性、痛みがあるか、ダグラス窩や卵巣の状態をみます。 ③経腟超音波検査で子宮、卵巣の状態をみます。 ④血液検査で腫瘍マーカー(CA125)をチェックします。症状の強い子宮腺筋症では陽性になりやすいですが、軽度の子宮腺筋症では病気があっても陽性にならない場合があります。子宮内膜症でも陽性になります。 ⑤MRIは、子宮腺筋症の位置や広がりや子宮内膜症があるかどうかの判断に用いたり、子宮筋腫と子宮腺筋症の区別や悪性(子宮肉腫)の見極めに用いたりします。

閉経まで逃げきれれば、閉経後に治療の必要はありません

子宮筋腫と同じように、女性ホルモンが低下すると子宮腺筋症の病変は萎縮して小さくなり、月経過多や月経痛は消失します。そのため、無症状~症状が軽度の場合は、ホルモン療法や手術による治療を行う必要はありません。症状が強い場合でも、ホルモン療法で閉経まで持ち込めれば、閉経後は治療が不要になります。

薬による治療

貧血の場合、鉄剤や止血剤、サプリメント補充で貧血が改善して維持できるなら、ホルモン治療や手術は必ずしも必要ありません。月経量が多い場合には、低用量ピル、黄体ホルモン放出子宮内システム、GnRHアナログで治療を行います。
月経痛や下腹痛の場合も、鎮痛剤で症状が抑えられる場合にはホルモン療法や手術は必ずしも必要ありません。痛みが強い場合には、低用量ピルや黄体ホルモン内服薬、黄体ホルモン放出子宮内システム、GnRHアナログで治療を行います。それでも症状が軽快しなかったり、薬の副作用により治療継続が難しかったりする場合には、手術による治療を考慮する必要があります。

手術による治療

子宮腺筋症を直す(根治する)手術が子宮全摘術です。一般的に、子宮腺筋症の手術といえば子宮全摘術を指します。子宮の状態により、開腹手術、腹腔鏡下手術、または腟式手術で行います。子宮腺筋症の症状のためQOL低下が著しく、かつ、根治治療を望む場合に行います。腹腔鏡下手術や開腹手術では、子宮内膜症を合併している場合に同時に治療を行います。

妊娠出産の希望がある場合には…

子宮腺筋症があっても必ずしも不妊になるわけではありません。妊娠・出産の希望がある場合、無症状~症状が軽度で鎮痛剤や鉄剤で対応可能な場合には、患者さんにはそのまま妊娠・出産を考慮してもらいます。妊娠を希望しているときにはホルモン治療が行えませんので、月経痛や月経過多が強い場合には、早期の妊娠をめざして不妊の検査や治療を行うことをお勧めしています。不妊治療として、体外受精・胚移植が必要になる場合があります。また妊娠した場合にも、子宮腺筋症があることによって早産や流産が起こりやすくなる可能性がありますので、下腹痛や出血などの症状に注意しながら慎重な経過観察が必要になります。
子宮を温存する手術として子宮腺筋症の病変のみを摘出する手術が一部の施設では行われていますが、現時点では一般的な子宮腺筋症の手術にはなっていません。子宮腺筋症のみを切除した後の妊娠では、子宮破裂や癒着胎盤などの周産期合併症の危険性が高まったり、帝王切開術が必要になったりなどの特別な注意が必要になるため、医師に相談し手術のメリット・デメリットを理解したうえで選択しましょう。

病気や治療法をよく理解し、ライフプランに合わせた治療を医師とともに考えましょう

子宮腺筋症は、子宮筋腫や子宮内膜症と並んで、女性のリプロダクティブ・エイジ(reproductive age)によく起こる病気です。閉経までその症状とうまく付き合っていく必要があります。あなた自身が病気や治療のメリット・デメリットを理解し、医師に相談しつつよく考え、自分の意思で将来を見据えた選択を行うことが必要です。